月夜 ページ8
太「虎探しを手伝ってくれないかな？」
『やっぱりそう言うと思った……』
面倒なことになりそうだとは思ったけどさ…
敦「い、いい、嫌ですよ！それってつまり『餌』じゃないですか！誰かそんな」
太「報酬出るよ」
敦「・・・。」
ん…？敦君明らかに目の色変わったよな…
太「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に」
国「おい、3人で捕まえる気か？まずは情報の裏を取って───」
太「いいから」
太宰さんが一言告げると、国木田さんは何も言わずに紙を受け取った。
付き合い長いのかな
敦「あ、あの…ちなみに報酬はいかほど？」
うん、やっぱり気になるんだね
太「…こんくらい」
敦君と一緒に紙を覗き込むと……
働く上で大金だったことは言うまでもない。
────────
場所は変わって、港近くの倉庫。
ここに例の虎が出るんだとか…
ていうかそれよりも、心地よい波の音が…いい感じに眠気を……
太「…A君、起きないと虎に食べられてしまうよ。」
『ハッ……俺は一体何を……』
そうやって起きた俺の顔を見て笑った敦君は、スッと心配そうな表情をする。
敦「……あの…本当にここに現れるんですか？」
太「本当だよ」
敦「・・・。」
『・・・。』
太「心配いらない。虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても「武装探偵社」の一隅だ」
それを聞いてなのか、敦君はもっと暗い表情になった。
敦「はは、凄いですね自信のある人は。僕なんか孤児院でもずっと「駄目な奴」って言われてて───そのうえ今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で」
『・・・。』
太「・・・。」
敦「こんな奴がどこで野垂れﾀﾋんだって…いや、いっそ喰われてﾀﾋんだほうが────」
そうか…そんな過去が……
ふと太宰さんの方を見ると、太宰さんは倉庫の窓(？)から外を見ていた。
太「却説───そろそろかな」
───ガタンッ
太宰さんがそう言った瞬間、倉庫の奥から物音が聞こえる。
『い、今何が聞こえたんだ…』
敦「…そこで物音が！」
太「そうだね」
敦「きっと奴ですよ太宰さん！」
敦君は凄い慌てたような表情をしている。
太「風で何か落ちたんだろう」
敦「ひ、人喰い虎だ…僕を喰いに来たんだ…」
『とりあえず落ち着いて敦君…』
太「そうだ、座りたまえよ敦君。虎はあんな処からは来ない」
敦「ど、どうして判るんです！」
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作者名：凍架 | 作成日時：2018年6月14日 20時
