こう見えても友達なんです。

21.D ページ21

〆．



人生で一番長い夜やった。



手術室と書かれたランプの赤い光を睨みつけながら、Aの笑顔を思い出していた。



ついこの間まで、親友だと言っていたのに。



もしかして、俺が親友やと言いまくってたから、言い出しにくかったんやないか。



…………いや、彼女は器用に嘘をつけるタイプやない。それが可愛ええとこの一つなんや。



てことは、かなり直近で気持ちに気付いたんか。



気付いてすぐ告白するなんか、Aもなかなか行動力あるやん。



…………褒めたるから。ご褒美あげるから。



やからちゃんと、俺のとこ戻ってきて。



「お願いやから………ッ」



大切なものは、失って初めて気付くらしい。



でも、俺は違う。



Aの大切さは十分わかってる。



どうか神様、



俺からAを奪わんとってください……。



「重岡さん、ですか」



「っ、Aは！」



「手術は成功しました、あとは彼女の回復力を信じましょう」



「…………ああ、っ、ありがとうございます……！」



手術室から出てきたA。



麻酔がすっかり効いてるとのことやったけど……。



「しばらくは目覚めないですが、麻酔で長く眠りすぎるのは良くないので、朝を迎えたら声掛けして起こしてあげてください」



「は、はい」



Aの寝顔が、こんなに不安やなんて。



意地でも起こしてやる。



起こして、「おはよう」と微笑みあってから、



俺の気持ちを全部聞かせたるからな。



Aの髪をそっと撫でた。



〆．

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