大倉との腐れ縁【緑】

☆.7 ページ7

『早かったなぁ〜』


「早く帰って来いって言ったじゃん」


『ん？ あ、そっか。笑』


「もー、お腹すいた」


『ちょっと待って、もうちょっと…』









私の家で

私の家のキッチンで





我が物顔で料理をしている、こいつ









部屋の中には

もうすでに、いい匂いが立ち込めている









『先、風呂入ってきーや』


「あー、うん」


『そしたら、ちょうど出来てるわ〜』









付き合ってもないのに


こんな会話ができるのも

こんな状況になっているのも





全ては、大倉との腐れ縁のせい









言われるがまま

お風呂に入って









" ほんとに、このままでいいの？ "


っていう、いつもの自問自答









でも結局は

今まで通りを選んでしまう




私も









『今日は、大倉特製パスタです』


「わー、美味しそう」


『んふふっ』









自分一人だったら

絶対に作らないなぁ、と思う






なんともお洒落な晩ご飯









マリネとか、作れちゃう系 男子


だからね、こいつ









野菜たっぷりのスープも

ちゃんと、いちから作ってあるし









「美味しいー！」


『せやろ〜』


「料理上手なのにね、」


『ん？』


「なんで、モテないんだろうね。笑」


『いや、お前よりかはモテるから。笑』









大倉は、彼女ができても

あっという間に



いつも、別れてしまっている









でもまた、しばらくしたら

新しい彼女が出来るから





モテない、っていうのは

語弊があるかもしれないけど









でも、長続きしたためしがない









「ごちそうさまでした」


『いえいえ』


「あ、食器は私が洗うから」


『えーよ、座っとき？』









" 今日も、お疲れさん "




そう言って、私の頭を

ぽん、っと優しく撫でて





私の分の食器も持って

キッチンへと向かう









ねえ、そんな

何気ない仕草にさ









私が、こんなにもドキドキしてるの

知らないでしょ…？









ほんと、ばか。





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