大倉との腐れ縁【緑】

☆.24 ページ24

「おーくら、聞いてる？」









背伸びをして

ぼーっとしたままの大倉の顔の前で

チラチラ、と手を振った









すると、パッと


突然、腕をつかまれた









小さい頃は

よく手をつないで出かけてたけど




大倉から触れられることなんか

もちろん、私が大倉に触れることも





全く、なかったから









変わらないのは

ふいに、頭を撫でられる時だけ









だから、









一瞬の出来事で

あまりにも、びっくりして



声も出せないでいると









私の腕をつかんだまま









『………マル、彼女と別れてんて』









と、大倉がボソッとつぶやいた









「え？」









私が聞き返すと

そっと、つかんでいた腕を離してくれた









『………別れてんて、』


「あ、そう」


『しかも、3ヶ月も前に』


「あらら」


『………なんやねん、その反応』









なんやねん、と言われても…


じゃあ、なんて言えばいいの？









『………3年くらい、付き合ってたのに』


「うん」


『そんな話、あんませーへんから、俺ら』


「へー」


『へーって…』









パシッと

今度は、軽く頭をたたかれた









「痛っ！なにすんの、もう」


『せやから、なんやねんて。その反応は』


「はぁ？」


『…………もう、なんやねん。お前』


「ちょっと待って、意味わかんない」


『は？』


「昨日から、変だよ？大倉」


『……………大倉、って』


「え？」


『……昔は、たーくんって呼んどったくせに』









もう、こいつが何を言いたいのか

全く意味が分かりません









" たーくん " って

確かに、呼んでたけど





それももう、何年前のハナシですか









『ヤスが好きって言ってたくせに』


「は？」


『お前は、山田が好きなん？漫才師が好きなん？おもろいのが好きなん？なんなん？』









はぁ？



まず、山田って誰

漫才師ってなに



何の話をしてるのか、さっぱり…









ヤスって、安田くん？


安田くんのことが好きとか

わたし、言ったっけ？









…………あ、言ったかも





好き、とは言ってないけど





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