【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】現代・番外編

蟲のこえ ページ25

*大正軸
*煉獄さん視点






「胡蝶？庭に何かあ、」
「しーっ、お静かに」

定期検診の為蝶屋敷へと赴いたが、胡蝶が何やら庭の方を覗き見るように眺めていた。何を見ているのかと不思議に思い声をかけたが、あれですと指を指した方を見て理解する。

「おねーちゃん、お歌聞かせて！」
『う、歌？うーん、童謡とかはあまり覚えてないけど…』

そこにいたのはAと3人の子供。
鬼に襲われて怪我を負い、蝶屋敷にて保護された子供たちだ。Aは遊び相手になっているらしい。

どうして隠れて見ているのかと小声で胡蝶に尋ねると、"面白いからです"と返す。面白いとは、と首を傾げるも、まあ見ていてくださいとのこと。

『歌…えーと、もうすぐ秋ですし…あれスズムシが〜鳴いている〜。りんりんりんりんりーんりん』

小学校の唱歌集にも載っている《虫の声》だな。
…はて、スズムシが出るのは2番目で、初めはマツムシではなかったか。

『あれ……スズムシが〜…鳴いている〜…？』
「スズムシ2匹目？」
「ふ、っ…」

子供の指摘に、あれ？あれ？と首を捻るA。隣で胡蝶が吹き出す声が聞こえる。なるほど、これが胡蝶の笑いのツボに入るらしい。

『えっと、えーと…どうしよう、私の秋スズムシしかいない』
「(Aさんってたまに頭が緩くて面白いんですよねぇ)」
「うむ、可愛らしいな」
「(こっちにも頭の緩い人がいましたね)」

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