�� ページ22
「Aちゃん。どうして煉獄くんが怒ったか、分かる？」
『…私が死にそうになったから、でしょうか』
「うーん、ざっくり言うとそうだけど、ちょっと惜しいわね」
カナエさんは困ったような表情で私を見ている。
『鬼を切るために死ぬ。鬼殺隊なら珍しい事じゃないと思います』
煉獄さんに助けられた命であり、死にそうになることに怒るのはわかる。しかし仕方ないではないか。鬼と戦うとはそういうことだ。
「ええ、そうね。皆死は覚悟しているもの。…でもね、Aちゃんは違うわ。
“戦った結果死ぬ”、と“死ぬ為に戦う”ことは全くの別物なのよ」
『…自 殺願望はありません』
「それでも私達の目にはそう写っちゃってるわ。死に急いでるようにしか見えないの」
私が、死に急いでいる。
そうだろうか。自分では分からない。目的の為に必死になっているだけだというのに。
「それに、Aちゃんを見ていると怖くなっちゃうのよ。だって、“自分の命を投げ出してでも”って気持ちが強く伝わってくるから」
自分の命を投げ出してでも。
そのくらいの気持ちが無ければ、命を救えない。どうせ最後には消えてしまうのだ。だったら自分の命なんか捨ててしまえと。
『私なんかが悠長にやってたら、達成できないんです。だから、死ぬ気でやらなきゃ、いつまでも弱いままで』
どうしてここにいるのが私なんだろう。もっと才能がある人だったらよかったのに。もっと強い人だったらよかった。私なんかじゃ、大好きな人達を助けられない。自分一人の命を懸けたって出来る気がしない。
いつまでも弱い。時間が無い。
未来を知っているのは私だ。私だけが知っている。このことをみんなに話せる訳が無い。助けてと叫べない。
失敗したら時間は巻き戻せない。間に合わなかったなんて言い訳では済まない。
皆を救えるかは私にかかっている。
皆が死ねば、それは私のせいだ。
独りで戦うプレッシャーに、何度も押し潰されそうになった。
ダメだ、耐えろ。
足を止めたら進めなくなってしまう。
這い蹲ったら、起き上がれなくなってしまう。
ここで止まるわけにはいかないのに。
だってまだ、何も始まっていない。
「なにか目的があるのは知ってるの。でもAちゃんが死んじゃったら元も子もないわ」
『…そうですね』
「やっぱりまだこのままね。でも大丈夫！きっとすぐに答えを見つけられるわ」
だってAちゃんは、凄い子だもの！
その言葉に、溢れる涙が止まらなくなってしまった。
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ナキサ(プロフ) - 飛鳥さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございました！ (2021年11月22日 19時) (
レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - ものすごい大作に出会ってしまいました……ありがとうございますありがとうございます… (2021年11月22日 9時) (レス) id: d3040dc27e (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - あまねさん» 読んでくださりありがとうございます！楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。 (2021年11月15日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑､､､待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年11月14日 9時) (レス) @page23 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - meruriさん» コメントありがとうございます！感動していただけれ嬉しいです (2021年10月28日 22時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2021年3月5日 14時
