帰り道 ページ19
「A、結婚はいつにしようか!」
『…はぇっ!?』
無事に教育実習の一日目を終え、杏寿郎さんが送ってくれるということで一緒に帰っていた時だった。突然の話題に動揺する。
『け、結婚はまだ、早いんじゃ』
「そうだろうか?前世で誓ったのだし、いいと俺は思うぞ」
確かに一理あるかもしれない。けど、けど、心の準備がまだだ。
「それに、前世では行動が遅すぎたことを俺は反省した!白無垢姿を見れなかったことがずっと悔しくてたまらなくてな!」
『じ、十分行動は早かったような』
行動力の化身である男がなにやら行動力で反省している。そのままで大丈夫だと私は思います、よ?
『せめて大学を卒業してからがいいかなって思います』
「確かにそれは良い節目だな!考えておこう」
『…あっ!…あー、えぇと』
「うん?どうした?」
そういえば、とある事に思い当たる。
『その、私達…付き合ってる、ってことで合ってますか…?』
「…よもや!」
愛を確かめ合ったものの、再会が嬉しすぎてそういうことを忘れていた。杏寿郎さんもそれは盲点だったようで。
「A!」
『はいっ』
「君のことが好きだ。どうか俺と付き合って欲しい」
『…はい、よろしくお願いします』
杏寿郎さんはにっこりと笑みを浮かべる。
私が安心出来るように、ちゃんと言い直してくれたんだろう。ほんとそういうとこ好き…。
なんて惚れ直していたら家に着いてしまった。
「む、ここか。思ったより近いな!…なぜ今まで会えなかったのだろうか!」
なにか空間が歪んでいたような気がする。ここまで皆に会えないなんてことはないだろう。
「名残惜しいが、今日はここでお別れだな」
『そうですね…でも明日も会えますから!』
本当は物凄く寂しいし家にあげたいところだが、“簡単に男を家に招き入れるんじゃない”と怒られてしまいそうだ。大正時代では色々お世話になりました…。
『それでは、また!』
「…っ」
ドアを開けようとすると腕を掴まれる。
『杏寿郎さん?』
「…!すまない」
ハッとしたように、しかしどこか辛そうな表情だ。
『どうしました…?』
「…君は“またね”と言って、消えただろう?」
それは思い出してしまってな、と眉を困ったように下げて言う。
『もう私は消えませんよ。…上がっていきます?』
「それはダメだ!君はもっと男に対して警戒心を持ちなさい」
『ふふ、分かってます』
代わりに電話しませんか、と提案に杏寿郎さんは乗り、それが習慣となった。
940人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナキサ(プロフ) - 飛鳥さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございました! (2021年11月22日 19時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - ものすごい大作に出会ってしまいました……ありがとうございますありがとうございます… (2021年11月22日 9時) (レス) id: d3040dc27e (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - あまねさん» 読んでくださりありがとうございます!楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。 (2021年11月15日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年11月14日 9時) (レス) @page23 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - meruriさん» コメントありがとうございます!感動していただけれ嬉しいです (2021年10月28日 22時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナキサ | 作成日時:2021年3月5日 14時