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十五 ページ16

「煉獄先生、筍組の提出物を持ってきました!」
「ありがとう!そこに置いておいてくれ」

1年筍組の溝口少年が歴史の問題集を持ってきたらしい。働き者の彼はよくこうして朝にクラスの仕事を率先している。パン屋の手伝いもあって早起きだ。感心だな!

「はい!それと…」
「どうかしたのか?」
「いえ…ただ、煉獄先生!今日は…多分あと少しで、すごく良いことが起こりますよ!」
「良いこと?」

それでは失礼します!と、職員室を出ていってしまった。
良いこととはなんだ?占いか何かだろうか。想像もつかないが、悪い気はしない。

「なんだァ?竈門の奴」
「うむ…よく分からないな!」
「まー良いことっつうからいいんじゃね?悪いことよりマシだろ」

それもそうだ。急に生徒から悪いことが起きるなどと言われるより断然いい。

「少なくとも、今煉獄先生には悪いものは憑いていないから大丈夫よ」
「胡蝶先生がそう言うなら間違いないな!」

一度不死川の体調が悪い時に、彼女のお祓いで症状は消えたと聞く。下手な霊媒師より信頼できそうだ。

そんな会話をしていると、コンコンコン、とノックが3回聞こえる。

「お、実習生が来たか?」

こんな丁寧にノックまでする生徒はうちにはいない、という宇髄の偏見ともいえる判断だ。この3年間その判断が外れたことがないため、その偏見も正しいと言えるかもしれない。

失礼します、という声は女性のものだ。


__ドクン、と心臓が高鳴る。
その声に、聞き覚えがあるような気がした。ずっと求めていた声だと。
いつもの幻聴かもしれない。
しかし、今日は違うという予感もあった。

ドアを開けて入ってきたその姿に、息をするのを忘れる。

今自分は、都合のいい夢を見ているのではないかと。

『本日より教育実習をさせていただく、AAと申します。ご迷惑をお掛けすると思いますが、どうぞよろしくお願いします』

彼女はどこか震えた声で挨拶しお辞儀した後、俺を見て泣きそうな笑みを浮かべた。

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ナキサ(プロフ) - 飛鳥さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございました! (2021年11月22日 19時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - ものすごい大作に出会ってしまいました……ありがとうございますありがとうございます… (2021年11月22日 9時) (レス) id: d3040dc27e (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - あまねさん» 読んでくださりありがとうございます!楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。 (2021年11月15日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年11月14日 9時) (レス) @page23 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - meruriさん» コメントありがとうございます!感動していただけれ嬉しいです (2021年10月28日 22時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2021年3月5日 14時

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