【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

陸拾伍 ページ18

宇髄さんは「地味に落ち込んじまったじゃねぇか！！」と善逸を死なない程度にバシバシ叩いていた。

痛そうだなと思ったが、「うるせぇこの美形筋肉だるま！！」とキレ返していたので何も思わなくなった。

「鬼を見つけたんだ！！音が静かで、上弦じゃないかって思うくらいやばそうだった！！」

蕨姫っていう花魁だ、と善逸が言う。

「よくやった、そこまで分かりゃ上等だ」
『でも伊之助君のところにも鬼がいるんでしょう？』
「ああ、そうだ！」

そちらも気になるな、と煉獄さん。

「ここは二手に分かれるか」

私と炭治郎くん。

善逸くんと伊之助くんと煉獄さん。

って感じで分かれた。
宇髄さんには嫁さん探しに先に専念してもらうことに。

いいのか、と言われたけどいいのだ。
だって柱が一人ずつついてるしさ。

さて、目指すは全員五体満足！誰も死なせん！









『不躾ですみません。私達はそろそろいきます』
「月夜ちゃん…炭ちゃん…その格好は」

短い間だったが良くしてもらった鯉夏さんに挨拶をした。
この後堕姫に襲われる筈、気をつけなければ。

「訳あって女性の姿でしたが俺は男なんです」「あ、それは知ってるわ、見ればわかるし。
炭ちゃんが男の子だっていうのは最初からわかってたの」

うん、バレバレだよねそりゃ…。

「何してるのかなって思ってはいたんだけど事情があるのよね？須磨ちゃんを心配してたのは本当よね？」
『それは勿論です。
いなくなった人たちは必ず助け出します』
「ありがとう、少し安心できたわ」

そういってほっと笑う鯉夏さん。

「私ね、明日にはこの街を出て行くのよ。
こんな私でも奥さんにしてくれる人がいて今本当に幸せなの。でも、だからこそ残して行く皆のことが心配でたまらなかった」

嫌な感じのする出来事があっても私には調べる術すらないと言う。
そんなの当然なのに…。優しい人。

「どうか気にしないで。笑顔でいてください」

そうしてお辞儀をし、退出する。
ここからは戦いだ。気合を入れなければ。

「俺達は京極屋に向かうんですよね」
『そうですね。…しかし、戻りましょうか』
「え？」

炭治郎は不思議そうな顔でこちらを見たが、すんと鼻を鳴らして気づいたようだ。

もう来たな。堕姫。

私は駆け出した。炭治郎も後ろからついてきているな、よし。

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