【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

陸拾肆 ページ17

名前は、と聞かれるので偽名である月夜と名乗った。
杯にお酒を注ぐ。

「いやはや、君のような女性に注いでもらうと気分がいいな！」
『ふふ、お戯れを』
「戯れなどではないさ」

そのまま熱い目線を私に寄越しながら、耳打ちする。低い声がくすぐったい。

「上弦の可能性があると聞いたが」

その言葉で全てを察した。

私は先日、

“気配の隠し方からして、上弦がいるかもしれない”

と産屋敷邸に手紙を宛てた。
密かに会っていた宇髄さんも同意見であるようだし、伝えておくべきかと思ったので。

それにより炎柱が任務として来たようだ。
なるほど。

私はこくりと頷いて、今度はこちらが囁く。

『京極屋が怪しいかと』

特に、蕨姫花魁はいい噂を聞かないこと。
次々と怪我人や足抜け、ジサツする子が増え、人が消えていることを談話を混ぜつつ、コソコソと伝える。

承知した、と煉獄さんは言って立ち上がる。

「とても楽しかった、また相手をしてくれ」
『私で良ければ、いつでも』

私も立ち上がると、煉獄さんはふいに口を私の耳元へ寄せる。

「…その姿も可愛らしいが妬けてしまうな」
『っ！？』

甘さを含んだ声で囁かれる。
…腰が抜けるかと思った。とんだ不意打ちだ。

てか妬けるって…。
それ絶対女子勘違いするよ！？
やめとけいつか刺されるぞこんな！！
女殺し！！

真っ赤になった私の顔を見て、くつくつと喉を鳴らして笑う煉獄さん。
何故だ、悪い大人感がすごい！！
普段は色気より食い気なくせに！！！
くっそう推せる！！！

そのまま楼主さん達へ何かを言って、出ていってしまった。

「あんたはやっぱ大物になるよ！！」

何を言ったんだよ煉獄さん。









「俺んとこに鬼がいんだよ！」

伊之助がそう言った。

「落ち着け伊之助。そろそろ宇髄さんと善逸、定期連絡に来ると思うから」

善逸は今どういう状態だろうか。
やはり原作通り捕まってしまった…？

「善逸は消えた」

宇髄さんがそう言った。
…そうか…。

『それは…』
「安心しろ！黄色い少年ならここだ！」
「炭治郎ぉぉおお！！伊之助ぇぇええ！！」

そうだ、煉獄さんがいたんだった。
善逸は「怖かったよおおお」と泣き喚いている。

「京極屋で倒れているのを見かけてな！拾った！」

ナイス。
これのおかげで宇髄さんが責任を感じて「後は俺1人でやる」なんてことにならなくなった。
連携が取れる。

…戦力としてはかなり充分だなこれ。

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