【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】

肆拾陸 ページ48

すく、と炭治郎の前でしゃがんでいたしのぶさんは立ち上がる。怒っているようだ。

「勝手なことをしないでください」
「鬼がなんだって、坊主。
鬼殺隊として人を守るために戦える？そんなことはありえねえんだよバカが！」

そう言って刀を箱に突き刺す。
箱からは血が出ていた。

「っ、俺の妹を傷つける奴は、柱だろうが許さない！」
「そうかよかったなァ」

刺していた刀を箱から抜き、血を振り払う。
炭治郎は怒り突進していく。

「やめろ！もうすぐお館様いらっしゃるぞ！」

冨岡さんが止める。大きい声は珍しいな。
不死川さんははっとした表情になるが、炭治郎は止まらない。
そのまま頭突きした。

…。

『っふ…』
「ぶふっ」

蜜璃ちゃんと一緒に笑ってしまった。

「『すみません…』」

柱達の視線を感じて謝る。

「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら、柱なんてやめてしまえ！」

確かに、それは言えているかもしれないなぁ。
でも鬼への恨みが強いとやっぱなぁ…。

「お館様の御成です」

お館様が現れる。
この後炭治郎が頭押さえつけられてたね。痛そうだし止めるか。

『炭治郎くん、頭を下げて』

こそ、っと耳打ちする。
え、といった表情だが、とりあえず頭を下げてくれた。うんうん。

「よくきたね、私のかわいい子供たち」

今日はいい天気だね、空は青いのかな、と仰った。やっぱり呪いが進行しているのだ。

「お館様におかれましても、ご壮健でなによりです」

不死川さんが丁寧に挨拶し、そして炭治郎についての説明を求めた。

理性も知性もなさそうだったのにっていうの毎回笑っちゃうな、ダメだ我慢。

「そうだね、驚かせてしまってすまなかった。
炭次郎と禰豆子のことは私が容認している。
そしてみんなにも認めて欲しい」

悲鳴嶼さん、宇髄さん、伊黒さん、煉獄さん、不死川さんは反対。

蜜璃ちゃんはお館様がいうならと賛成。

時透くんはすぐに忘れるからどっちでもいいと。

義勇さんとしのぶさんは無言。

「手紙を」
「はい。こちらの手紙は元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます。


炭次郎が鬼の妹と共にあることをお許しください。

禰豆子は強靭な精神で人の理性を保っています。

飢餓状態であっても人を食わず、2年以上の歳月が経過いたしました。

信じ難い状況ですが、事実です。

もしも禰豆子が人に襲い掛かったら、竈門炭治郎および、鱗滝左近次、冨岡義勇、AAが腹を切ってお詫びいたします」

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