参拾漆 ページ39
「今日はよろしくね、Aちゃん」
『はい、こちらこそ宜しくお願いします』
今夜、胡蝶カナエとの合同任務が決まった。
__今日だ。
ただの勘、しかしどこか確信めいていた。
今日、きっと童磨が現れる。
「その襟巻き暖かさそうね〜!冬だから着けているの?」
『はい。いざとなったら凍傷などで危ない人がいた時にも温められるので…』
「素敵な理由ね!」
童磨対策ではあるのだが、これもちゃんとした理由である。冬に入ってから、既に雪の中で危険状態の人を数人見かけている。
よければ貸しましょうか、と提案したが、呼吸で体が温まっているから私には必要ないわねぇ、と笑って返された。
出来ればカナエさんにも着けていて欲しいんだけどなー。
童磨の“粉凍り”とかの対策にもなる。
「でも、それなら私も持っておこうかしら」
『!是非買いましょう!その、お揃いにしませんか』
「あら〜!いいわね、そうしましょう!」
よっしゃあああああ!!
生存率上げてこ上げてこ!
そうして任務先近くの街で襟巻きを買った。
因みに今日の任務は、
“少女を中心に行方不明者が多発している。数人の隊士を送ったが帰ってこなかった”
という理由で通達されたものだ。
隊士が帰ってこない時点で鬼の可能性は高い。
しかしそれが童磨かどうかは…。おそらく違う鬼な気がする。
「それじゃ始めましょうか!」
カナエさんはニッコリ笑ってそう言った。
.
.
雲一つと無い満月の夜。
澄んだ空気は冷気を含んでいる。
それは、任務の鬼の頸を斬り落とした時だった。
「わぁ、可愛い女の子が二人!」
歓喜を混じえた音色で話し出す。
顔には朗らかに浮かべる笑み。
そして眼球に刻まれた、“上弦の弐”。
童磨が、その夜現れた。
「やぁやぁ初めまして。俺の名前は童磨。
今日は良い夜だねぇ」
「…えぇ、貴方がいなければ」
カナエさんは刀を構える。
穏やかな笑みは残したまま、しかし眼は鋭い。
私も刀を手にかける。
…二年間準備をしてきた相手。
私の目標は、カナエさんを死なせないこと。
「つれないこと言わないでおくれよ」
童磨は手にした対の扇を開く。
どうやら平和にはいかないようだ。
「Aちゃん、貴方は逃げなさい」
『何故ですか』
「あの鬼の相手は私がする。だから…」
「へぇ、Aちゃんって言うんだね!そっちの子の名前はなんだろう?」
うわ名前知られた最悪。てかカナエさんとの会話に入ってくんなや!KYか!
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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時