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弐拾弐 ページ24

「おめでとうございます。最終選別合格でございます」

その場にいたのは10人。
20人くらいいたことを考えると、半分が合格だ。相当優秀だろう。
…ただ、助けられなかった人がいるのは、少し辛いけれど。

それから隊服の支給、階級、刀の説明、鎹烏などの説明を聞く。

カァ、と鳴いて飛んできた烏は私の腕に止まった。この子とこれから一緒に仕事するんだ。
指先で撫でれば烏は目を細めた。可愛い。

『よろしくね』
「カァ!」

なんかまだ喋らないっぽい。任務になったら話すのかな。

「今から玉鋼を選んでいただきます」

そうして用意された石たち。
うん、違い分かんない。全部一緒じゃないの?

判断が遅いと鱗滝さんに怒られてしまうので、私は早々に残り物にしようという判断を下した。
え?決めろって?無理だよ優柔不断が私の性格なんだよ。

と、そう思っていたのだが。
一つの玉鋼が目に止まった。

『ぁ…』

他の物より色は濃く、暗く、しかし所々小さな輝きが数多ある。

それに夜の景色を重ねて、思わず手に取った。
感触はゴツゴツ、というよりかは思った以上にさらさらとしていた。

うん、この玉鋼が一番しっくりくる。
頷き納得し、それをまた預けた。









『さすがに…つかれたな…』

炭治郎が杖をつきながら帰った気持ちが分かる。体がだるい。
七日間襲われている人を助ける内にずっと走り回っていた。その分の疲労が想像以上に溜まっていたようだ。
まだ常中をしている為か歩く気力はあるが、少しおぼつかない。

必死に歩み進めると、着いたのは夜に差し掛かる頃だった。

あは、私、ボロボロだなぁ。
こんなんで助けたい人を助けられるのだろうか。命を、救えるのだろうか。

足から崩れ落ちた時、温かい腕が体を包んだ。

「よくぞ、帰ってきた…!!」

鱗滝さんが、私を抱き締めていた。
その言葉に私は生き残れたのだと実感した。

「よくぞ、生き残った…!!お前は凄い子だ…!」
『うろこだき、さん…』

じわり、と涙が滲む。
そうだ。私、頑張ったよ。一晩中駆け回って、頑張ったんだ。

一つの命を目の前で失った。
それだけで視界が真っ暗になって、心が折れそうになった。やめたくなった。

まだまだ実力が足りない。弱い。未熟だ。
__それでも私は、今、一歩を踏み出したんだ。

『ただ、いまっ!帰りっ、ました!』

私は嗚咽を上げながら、叫ぶように泣きじゃくった。

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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時

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