俺のモノ【佐野万次郎】

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「ココ、どこ？」


『んー、私の家？』


「は？ここ工場じゃん」








私の未来の家まで行った私は、それをみて唖然とした。



住んでいたアパートとは違い、大きい廃工場ある。






住んでいるアパートだいぶ新しいと思っていたが、かなりの新築だ。









恐る恐る中に入ろうとすると、急に万次郎が腕を掴んだ。





『なに？万次郎は待ってて良いよ？』


「いや…ここ危ねぇよ。やめとけ」


『え？どうして？』







あくまでここはもう使われていない建物。



立ち入り禁止の看板もないし犯罪ではないだろう。





私が不思議そうな顔をすると、私の腕を掴んだまま万次郎は続ける。







「多分だけどここ、この辺の不良の溜まり場」


『え、うそ…』


「嘘じゃねぇよ、ここにまだ新しいたばこの吸い殻あるだろ。しかも、雰囲気も普通じゃねぇ」






よく見ると、最近吸ったであろうタバコの吸い殻がそこら中に落ちている。



万次郎は気づかなかったみたいだけど、奥の方にはバイクが止まっていた。








『帰ろ、っか』


「おう」






あまり関わらない方がいいと思い、バイクに乗ろうとしたその時。



工場の方から女性の悲鳴が聞こえた。





“助けて”


気のせいなんかじゃない、はっきり聞こえた。







それを聞いた私は一目散に工場の中へ走る。







「A！」



後ろで万次郎が私の名前を叫んだけど、私は振り向かずに走った。








中に入ると、10人そこらの人たちが女子高生らしき子を取り囲んでいた。



気のせいかもしれないが、服も乱れている。








『ちょっと！やめなさいよ！』





私がそう叫ぶと、不良たちは一斉にこっちを見る。



一瞬戸惑った表情だったが、すぐにニヤリとした気色の悪い表情に変わる。







「なーに？まさか自分が犠牲になりに来たわけ？」


「良いじゃん、正直この子より全然可愛い」







そう言ったかと思うと、1人の不良が女の子をこちらへ投げ飛ばす。



私はふらついた足取りの女の子を支え、耳元で囁く。








『逃げて、ここは大丈夫だから』





かなり精神がやられてるであろうその子は一瞬戸惑った表情を見せる。



しかし、私が笑いかけるとどこか安心したように出口へ走っていった。

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