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虫「…なんで?」
公園のブランコに座って涙を拭っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「…虫さん…、」
虫さんは隣のブランコに座ると、さっきの質問をもう一度繰り返した。
虫「なんで?僕あんまりAのこと知らないし付き合い短いけど、相談とかだったらのるよ」
その優しい一言に、さっきまであった警戒心がとけ、涙がさらに頬を伝った。
私は嗚咽混じりの声を頑張って振り絞って、虫さんに必死に理由を伝えようとした。
「…えっとね、…っなんか、私もみんなといたいんだけどさ、。動画投稿もしたいんだけどさ、」
虫「うん、」
「大学、東京に行きたいところがあって。模試でA判定もらってるからいけると思うって予備校の先生にも言われてて…」
虫「…本当に、それを望んでる?だったらそんなに泣くはずないじゃん」
虫さんは私の頬を優しく掴み唇を尖らせた。
「…本当はっ、……嫌だよ。…でも、親に''友達とやりたいことをしたい''って言っても相手にしてくれなくて、頭のいい大学に行って安定した収入を得られるようにならないとダメって。そういう風潮があって。………私だって、…………私だってめちゃくちゃ反対したよ!!!みんなと、………………虫さんとも、一緒にいたい」
大きな声で叫びすぎて、周りの子供たちにガン見される。
虫「………っはは、Aの親なかなかひでぇなw娘に好きなことすらやらせてくれないのか…。Aだったら岡崎でだってちゃんとした大学行くに決まってんのに」
涙を全部拭ったのに、また新しい涙で顔がぐちゃぐちゃになった。
あぁこれ、明日めっちゃ腫れるやつだ。
公園で遊んでたキッズが私の前に出てきて、指をさした。
小学生「顔がぐっちゃぐちゃだよ」
虫「…っぷははwww…この人、顔ヤバいよねww」
小「ブースブースww」
「超絶美人ですよーーーだ!」
虫さんのおかげ、キッズのおかげで、少し気が楽になった。
ありがとう。
「虫さん大好き」
虫「なんだよ気持ち悪ぃなw」
本当に、好きで好きでたまらない。
なんて、言えないんだけど。
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作者名:てち犬 | 作成日時:2019年4月4日 16時