出発 ページ11
「…熱いから気をつけてね」
「わ、ありがとうございます」
イスに座ってすぐ、エージェントさんが私の前にもスープとサラダ、スプーンやフォークを持ってきてくれて、私はそれをじっと見る。
…昨日はトースト1枚だったのに。
急に少し豪華になって…なんか気を使わせてしまったかな…?
「いただきます…っ」
まぁ食べないのも悪いし、美味しく食べさせてもらうけどっ。
「どう…?お口に合うかしら」
私がスープを1口飲むと、飲んでいたコーヒーのカップを置き、こちらを見てプロキシさんは聞く。
「はいっ…!温かくてとっても美味しいですよっ」
私は大きく頷き言う。
…美味しいのは事実だけど、このスープに入ってる肉は、ちょっと食べ慣れない味がしたような気がする。
なんの肉かな……。
「そう。それは良かったわ」
「なら、こっちも口に合うといいんだけど」
微笑んで言うプロキシさん。プロキシさんが言い終わると丁度、エージェントさんがまた何かを持ってきて、私の前にカップを置く。
「僕の淹れたカフェオレだよ。口に合わなかったらごめんね」
私がエージェントさんの顔を見上げると、エージェントさんは苦笑しながら言った。
私は「ありがとうございます」とお礼を言って、カフェオレも1口飲んでみる。
「ん……」
プロキシさんの淹れてくれたカフェオレよりビターで、頭の中が苦味ですっきりしてくる感じがする。
「わ、美味しい…」
これはこれで、また違った美味しさ…
「はは、それはよかった」
「忘れ物はないかい、プロキシ」
あの後そこそこ急ぎぎみに食事をして、後片付けや色々準備をして…いよいよ私の初仕事に出発。
…まだ洞察だけだけど緊張するなぁ…。
今は丁度お店を出ようとしたら、エージェントさんが声をかけてきてくれた。
「平気よ。さぁリヴェ、行きましょう…?」
プロキシさんはと言うと、片目を閉じ、帽子を押さえながら答えた。そして外に出ると私に微笑み、優しそうに言う。
「行ってらっしゃい2人とも。気をつけて」
私も外に出ると、エージェントさんが扉を抑え、少し手を振って言ってくれた。
「ええ、行ってくるわ」「えへ、行ってきますっ」
私もプロキシさんも笑って言うと歩きだした。
「…さて。」
2人の姿が見えなくなるまで見送り、俺は扉を閉めた。
俺は俺でまだ仕事がある。のんびりしてられないな…。
扉に背を向け、とりあえずまずは¨証拠隠滅の¨食事をする事にする。
「…¨本当に気を付けて¨ね。
じゃないと、俺に殺されるよ。新入りさん」
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑 - 紅楓さん» そう言ってもらえるととても有難いです!コメントありがとうございます、これからも頑張りますねっ (2020年5月12日 16時) (レス) id: 8fad606fce (このIDを非表示/違反報告)
紅楓(プロフ) - 面白いです!作者様のペースでいいので、更新頑張ってくださいね! (2020年5月12日 9時) (レス) id: 082dab1426 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 緑さん» いえいえ、コメント欄に大変失礼いたしました。 (2019年11月4日 22時) (レス) id: 638a835745 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - 二次創作を書いていたつもりはないので今もフラグを立てていますが、何かあればまたコメントしてくれると有難いです、ゆりりんさんもわざわざコメントありがとうございますっ (2019年11月4日 16時) (レス) id: 8fad606fce (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 緑さん» こちらオリジナルで大丈夫ですよ…? (2019年11月4日 2時) (レス) id: 638a835745 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒夜 緑 | 作成日時:2018年9月2日 18時