あの日の前夜 ページ15
「それで…。頼みたい事って何かしら?」
自分の向かいで、少し真剣そうな顔をしている相棒に、私は小さく首をかしげ問う。
「明日、リヴェを依頼に連れて行ってほしい。もちろんプロキシも一緒にね」
「依頼…? …待って、そんなの明日も明後日だって無いわ?」
私を見る相棒。彼に言われて少し考えてみるが、依頼は¨今日終わらせたもの¨で一旦は無くなってしまった筈…。
私は彼が何を考えているか分からず、思わず見つめ返す。
「だからね、依頼をでっち上げるんだ。頼めるかい?」
「…あの子を何か試したいの?」
私は少し間を置いて、ゆっくりと彼に聞いた。
「ああ、そうだよ。¨復讐屋に相応しいかどうか¨をね」
「貴方には、あの子は復讐屋としての素質が無いように見える、と…」
はっきりとは言ってないけれど、つまりは彼はそう思ってるという事。私がそう聞けば、彼は小さく頷いた。
「でも、断定してる訳じゃないさ。不確かだから試して明確にする」
お互いにじっと相手を見合って、静かに会話が続く。ぴりぴりとした空気が流れている
「まぁ、私は反対するつもりは無いわ…?具体的に私は何をすればいいのかを聞いてもいい?」
確かに彼の言う事も分かる。私も「あんな少女に復讐屋の仕事が出来るのか」と考えてしまう時があるし…
「難しい事は何もないさ、リヴェには偵察だけと言ったし。
君はでっちあげる依頼の内容を考えて、リヴェを連れて歩くだけで構わない。」
「場所は…ほら、俺達がよく人外のターゲットを殺すあの森がいいかな。」と付け加えると、相棒は微笑んだ
…彼が私に微笑む時は……
「…エージェント、何をするつもり…?」
「ははは、それはちょっと君にも内緒だな」
少し睨むように見つめつつ聞いてみたが、彼はくすりと笑いそう言うだけだった。
「…そう言うと思ったわ」
「まぁ…、下手をすれば。もしかするとだけど…、あの子はちょっと痛い思いをするかもね?」
彼はイスから立ち上がり、妖しげな歪んだ笑顔を私に見せた。
「……あまり派手な事はしないでね」
私はそれを見て、なんとなく彼のしたい事が分かってしまった気がして、1つため息をついた。
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緑 - 紅楓さん» そう言ってもらえるととても有難いです!コメントありがとうございます、これからも頑張りますねっ (2020年5月12日 16時) (レス) id: 8fad606fce (このIDを非表示/違反報告)
紅楓(プロフ) - 面白いです!作者様のペースでいいので、更新頑張ってくださいね! (2020年5月12日 9時) (レス) id: 082dab1426 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 緑さん» いえいえ、コメント欄に大変失礼いたしました。 (2019年11月4日 22時) (レス) id: 638a835745 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - 二次創作を書いていたつもりはないので今もフラグを立てていますが、何かあればまたコメントしてくれると有難いです、ゆりりんさんもわざわざコメントありがとうございますっ (2019年11月4日 16時) (レス) id: 8fad606fce (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 緑さん» こちらオリジナルで大丈夫ですよ…? (2019年11月4日 2時) (レス) id: 638a835745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒夜 緑 | 作成日時:2018年9月2日 18時