ガトーオペラ #1-3 ページ28
「え…」
見抜かれていた。その事実に目を丸く見開き口をポカンと開けることしか出来ない。
対する鬱はAのそんな顔を見て「んふっAちゃんめっちゃ変な顔しとるやん。」と、他人事のように笑っていた。
ひとしきり笑った鬱だが、突然ん"んっと咳払いをし真剣な顔でAを見つめる。それには呆気に取られていたAも、ついつい畏まってしまう。
「あんな、自分でこんな事言うんはあれやけど、かなりの女の子と関わってきたんよ、僕。
せやからAちゃんがついてくれたやさしー嘘も、全部お見通しやで。」
にへらと笑いながら、Aを優しい眼差しで見つめる鬱。
そしてこの時Aは気付いてはいなかったが、鬱の一人称が変わっているのだ。大方、上手く使い分けをし自分を良く見せる為なのだろう。
「ほら、ここまで言うたんや。もう嘘つく必要なんてあらへんよ、正直に話してみ。」
ポンポン、と頭を軽く撫でる。それは口説く為に使うような下心のあるものではなく、あくまで相手を安心させようという優しいもの。
ここまでされてしまえばAも嘘をつく理由が無くなる。きちんと、正直に話し、鬱を少し誤解していたことを謝ろうと思いゆっくりと口を開く。
廊下で出会った時の距離、女性慣れしてそうだと思ったこと、怖かったこと。全て、事細かに伝えた。
「…なるほどな。それ完全にAちゃんのこと考えへんかった俺のせいやな…。」
眉尻を下げ、あからさまにしょぼんとしてしまった。鬱だって、そこまで悪気があった訳では無い。Aと仲良くなりたい、話してみたい。その思いが先走り、街にいる女性がいかにも喜びそうな手口で近づいてしまったのだ。ただそれが、Aにとっては軽く地雷だっただけで。
とてつもなく遠回りをし、お互いに仲を深めた鬱とA。
それはまるで、作る工程が難しいと言われ何段も何段も重なっているガトーオペラのように、ほろ苦くなんとも面倒臭い道のり。
そして他人にとっては小さな一歩でも、Aにとっては大きな一歩なのだ。
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とあ(プロフ) - ルナさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！これからもこの小説読んでお腹すかせて下さい笑 (2017年10月2日 8時) (
レス) id: 128c51a6b1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ↓ラグリすぎ正しくはリアル過ぎてお腹すいてくる (2017年9月20日 22時) (レス) id: 8638a0fc39 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - やばい凄いリアル過ぎておす好いてくる。君のせいで幻匂がするじゃないか(誉め言葉) (2017年9月20日 22時) (レス) id: 8638a0fc39 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - いなりさん» ありがとうございますー！ぜひともケーキをお供にしてはいかがでしょうか？笑。同士ですか！嬉しいです！！これからも頑張りますので宜しくお願いします！ (2017年9月4日 20時) (レス) id: 128c51a6b1 (このIDを非表示/違反報告)
いなり - 誤字です;ケークではなくケーキです！連続失礼しましたー (2017年9月3日 19時) (レス) id: 67ffebb8dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とあ | 作成日時：2017年7月21日 21時
