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全く気配を感じなかった。
目の前の鬼を睨みながら、血を流す千佳子を庇うように刀を向ける。
「その女、弱いなァ。全く美味そうじゃない」
「黙れ!」
怒りで頭がぐらぐらしていた。
なんだコイツ。
この鬼の気配、すごく不快だ。
「雪の呼吸 参ノ型、夢吹雪」
刀を一振し、吹雪を起こす間に千佳子を木にもたれさせる。
「すぐ戻るからね、千佳子」
気を失っている彼女の頬をそっと撫でてから、私は再び鬼と間合いを詰めた。
「壱ノ型、雪結晶」
「弱い餓鬼は嫌いなんだよ!」
攻撃を防がれ、弾き飛ばされる。
体制を整え木の幹に足を着いてから、刀を大きく振りかぶった。
「参の型___」
「血鬼術 枝垂縫」
「血鬼術____!?」
次の瞬間、木の枝が私の足に絡みついた。
驚く間もなく地面に叩きつけられる。
「ぐッ!!」
直ぐに刀で枝を切り裂いて立ち上がった。
しかし一瞬、稲妻のような痛みが身体を走る。
不味い、これは肋骨が折れた。
折れた骨の部分に触れると、更に痛みが増す。
顔を歪めていると、再び血鬼術によって枝が巻き付いてきた。
何度断ち切っても逃れられない。
油断していた。
それもこれも、全部師匠が、血鬼術は十二鬼月しか使わないって言っていたせい。
「あんの嘘つき野郎!!」
ニヤリと笑う師匠の顔が思い浮かんで、怒りが増す。
その勢いに任せて木の枝をズタズタにした。
そして体制を低くし、瞬時に鬼の懐に入る。
「なッ」
「肆の型、零涼透雪」
「あぁぁぁ!!!」
上体を起こすと同時に刀を斜めに振り上げ、鬼の頸を落とした。
ボロボロと崩れる鬼に背を向けて、千佳子の元へ向かう。
もう、大切な人を失いたくない。
「千佳子!千佳子!目を覚まして!」
背中の出血が酷かった。
羽織を彼女の背中に押し当てる。
「千佳子ってば!」
じんわりと涙が浮かんできた。
ダメだ、泣くな。
まだ千佳子は助かるはず。
必ず最後まで生き延びて、あんたを助けるから。
だからそれまで死んじゃダメだよ。
せっかく、友達になれたんだから。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時