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「助けてくれてありがとう!本当に!」
鬼に襲われていた選別者の女の子が、涙を流しながら抱きついてきた。
少し困惑しながらも、「う、うん」と小さく頷く。
いつの間にか周りにいた選別者はみんないなくなっていて、この場所には私達二人しかいなかった。
「私の名前は佐倉千佳子って言うの…貴女は?」
「私は…雪園Aよ」
煉獄という名字を名乗ることは、もうないんだ。
少しだけ寂しい気持ちになって羽織の裾を握る。
千佳子はそんな私の様子に気付くことなく、その場に立ち上がった。
「怪我はないのね。良かった」
彼女の様子を見て、ほっと胸を撫で下ろす。
千佳子は涙を拭い、「うん、ありがとう」と笑った。
そういえば、この子は私より一つ二つ歳上なのだろうか。
「千佳子、今いくつ?」
「え?十三歳だよ?」
「やっぱり年上か」
この選別に来る人は、一番若くても十三歳くらいだという。
千佳子は、小さい頃に家族を亡くしたのだろうか。
「え、Aってもしかして、私より年下なの?」
「そうだよ」
今私は十二歳だから、千佳子の一個下だ。
背は同じくらいだが。
「それなのに、そんなに強いんだ…」
千佳子はぽかんと口を開けた。
まじまじと顔を見られて、思わず目を逸らす。
「そんなことより、早く安全な所へ行こう。鬼の気配が近付いてきてる」
少し前から感じていた気配を読み取り、千佳子の手を取った。
彼女は「気配とかあるんだね」と妙に感心しているようだ。
歳は私より上なのに、何故か妹のように思ってしまう。
彼女の手を引きながら、僅かに頬を緩めた。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時