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「……何で鬱くんはいつも人に花を持たせるん？ 君の方が有能やろ？」
「だって、Aちゃんは花を持たせてくれる男が好きやろ？」
「……そうだ、ね」
10年ぶりに10年前と同じ問いかけをする。
人に花を持たせる君はいつも笑っていて、それでいていつも寂しそうだった。何がどうして君をそうさせたのかは私にはわからないけれど、ずっと見てたからわかる事がある。
友人が大好きで、自分が大切で、そんな歪な自分を本当は見てほしい。そう物語るような瞳が、背中が、愛おしい。……だなんて、なんで今更気づくんだろうか。
まさに今、当時からの恋心に気づいた私よりも、彼の方が先に気づいていたのがなんか釈だ。
「……君のことがずっと好きやった。せやから、しあわせになってな」
彼にとっての魔法の言葉はどう言う時に言うものなんだろうと考えたことがあった。
きっとこれは強がり。自分だけを見てほしいのに、自分の奥底を見てほしいのに、素直に言い出せない彼の必死の強がりだったんだ。
「……何その薄っぺらい言葉」
「え、Aちゃん……？」
「幸せになってやなくて君が幸せにしてや」
お皿を持った手に力が篭る。
一世一代の告白は多分この披露宴の幸せムードに飲まれたんだと託けてしまっているかもしれないけれど高校時代に無自覚にしろあれだけ想いを馳せてしまっていたならしょうがないと思いたい。
ゆっくりと抱き寄せられて彼の胸に収められる。
「……幸せにしたる。せやから幸せになろう」
「うん……」
「僕らの結婚式は僕が引き立て役になるからな」
「鬱くんも主役なんだよ？」
「僕の友達がな、結婚式は花嫁さんが主役やーって言うててな？」
どちらからともなく離れてこっそりと手を繋ぐ。
楽しそうに友達の事を話す彼の瞳に薄らと涙の膜が張っていて、触れないでおこうかと思ったが「なんで泣くの」と問いかければ「見んといて！」と勢いよく顔を逸らされる。
「ウエディングドレス綺麗だね」と話を逸らすように言うと「Aちゃんもきっと似合うやろうな」なんて手をにぎにぎ。
人に花を持たせるのが得意な彼はきっと、私にも花を咲かせてくれるだろうから、彼には私が花を咲かせようなんてポエミーな事を思ってしまったのも全部この幸せムードのせいだ。
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野々宮蓮花(プロフ) - 唐揚げさん» こんにちは。コメントありがとうございます！そう言って頂けてなによりです。まだまだ沢山の作品が続きますので、引き続き楽しんで頂けたら幸いと存じます。どうぞよろしくお願いします！ (2021年1月25日 20時) (
レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
唐揚げ(プロフ) - どの作品も少しドキドキ？しながら読ませていただきました。ut先生オンリーということで似たような作品が並ぶのかなぁと思いましたが、バリエーション豊かで楽しかったです。 (2021年1月25日 19時) (レス) id: 6975836a4f (このIDを非表示/違反報告)
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