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何度私が願ったって、彼は不幸にしかなれなかった。
もう私は、あの時みたいにあなたの不幸を被れない。被れないから、私は"神様"として見守るしか無かった。
なのにどれだけ頑張っても、彼は報われない。幸せになれない。神様の私が願っても、彼に幸せなど、訪れるわけが無いのだ。分かってる、彼も私も、分かっているのだ。
「………なぁ、Aちゃん、」
「もっかい、もっかいだけ、チャンス、くれへんやろか」
「………………ぇ、」
「もっかい、今度こそ、幸せになったんねん。」
「Aちゃんがめっちゃ昔、俺の為に村の生贄になった代わりに、俺が幸せにしてやりたいねん。」
「……もう、そんな悲しい顔、させた無いねん、」
なのに、なのに君は何度も何度も、来ない幸せに希望を抱いているのだ。
千年前のあの日、彼の代わりに私は村の生贄になった。私が死ぬことで、報われなかった彼が幸せで居られるように。けれどそれは……この世を経ても、叶うことは無かった。
それを彼はこの時まで、…きっとこれからも、変わらず、永遠に悔いているのだ。
「………………あげない、」
「……ぇ、」
「もうチャンスなんか、あげてやるもんか、」
「Aちゃ、」
「………………"来なさい、うつくん。"」
知ってる？鬱くん。
神様って、気まぐれでわがままなんだよ。
言葉に少しだけ力を込めて、彼の名前を呼べば、操られたように彼はゆらゆらと歩みを進め、私の手を取る。少しだけ透けた彼の手に、思わず笑みが止まらない。彼の正気を失っためを見るのもこれでさい期なのね、でも、いい。それでいい。
ボロボロにくずれた神でんに足を踏みいれて、彼とほほ笑んでから、ふすまの向こうへとかれをひきずり込む。彼がんばなが私たちをかん迎してくれる。明るいせ界。もう、もうあなたをふこうにするひとはだれもいないよ、うつくん、
なにして、あそぼうか、おてだま？おにごっこ？かくれんぼでもいいね！いままであそべなかったぶん、いっぱい、いっぱい、ほら、あのこたちも、いるんだよ、だから、
「いっしょに、あそぼうよ、うつくん、」
もう、ふしあわせにならなくていいんだよ、うつくん。
わたしといっしょなら、ずっとずうっと、しあわせになれるんだから。
･
･
･
ぴしゃり。
襖は、真実を隠すように、音を立てて閉まり、もう二度と開くことは、なかった。
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野々宮蓮花(プロフ) - 唐揚げさん» こんにちは。コメントありがとうございます！そう言って頂けてなによりです。まだまだ沢山の作品が続きますので、引き続き楽しんで頂けたら幸いと存じます。どうぞよろしくお願いします！ (2021年1月25日 20時) (
レス) id: 720637d64b (このIDを非表示/違反報告)
唐揚げ(プロフ) - どの作品も少しドキドキ？しながら読ませていただきました。ut先生オンリーということで似たような作品が並ぶのかなぁと思いましたが、バリエーション豊かで楽しかったです。 (2021年1月25日 19時) (レス) id: 6975836a4f (このIDを非表示/違反報告)
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