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舌に噛み跡─4 ページ4

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yb「昔の風習だかなんだか知らないけどさ、いてぇんだよ」


「……すんません」


yb「二ヶ月毎に俺はなんでこの痛みを味わわなきゃいけないんだよ」


「……すんません」


yb「大体さ、俺が嫌がってんの分かんねぇ?いつもいつも泣きそうで──」

「もう良くないかなぁ!?」



yb「……良くねぇし」




首筋を絆創膏の上から摩っている薮くん。


その姿がエ ロいのなんの。


上半身裸で絆創膏は合わないけどさ、合わなさすぎて逆にそれが合ってるっていうかさ



……ね?←




「かれこれ一時間はその話してるよ」


yb「どうせまたやられるくらいなら、毎回長時間の説教付きは確定」


「そうは言ってもなぁ……いっ、」




キッチンへ夕食を作りに行こうとしたところで、薮くんに指を噛まれた。


驚いて振り返れば、腕を引っ張られもうちょっとで唇が付きそうな距離に。




yb「そんな風習、調べても載ってなかった」

「そりゃあ、無名街だし」



いつの間に調べていたんだ、そんなこと。

まぁ、薮くんならやりかねないと思ってちゃんと裕翔に消してもらってたんだけどさ。



yb「俺には隠すんだそうやって。やっぱり、俺のこともそう見てるわけ?」

「違うよ」
yb「じゃあなに」



最近、薮くんの俺への当たりが強い。

不信感は益々増えていくばかりだ。



「全部教えたら、薮くんがやり難くなると思って」

yb「俺が?」

「調べたんでしょ?あいつらは裏で繋がってた。『君』がお父さんから疑われたら、元も子もない」

yb「俺は別に」
「薮くんを疑ってるとか、そういうんじゃない。ただ、薮くんは全部捨てたって言ってたけど、俺には失いたくないものだってある」



それだけなんだ。

ただ、二人だけの時間を大切にしたいだけ。



yb「なんだよ、それ」



納得のいかない様子で眉を顰める彼。

そうだよね。俺も『君』の立場だったら、絶対に俺を疑ってるよ。



「例えば……そうだなぁ」



聞かれてもいないが言ってもいいだろう。

これで元の関係にまた戻れるなら、お安い御用だ。



「薮くん、とか」



未だキスの距離で見つめ合うけれど、薮くんはやがて瞬きをして、ニヤリと口角を上げた。



yb「相変わらずキザだな」




直後、薮くんの味がした。




yb「……そうだ。俺はお前の為になんでもするなんて言った覚えはねぇかんな!」


「そうだっけ?」


yb「そうだってば!」




喧嘩は多いけれども、やっぱり薮くんは可愛かったりする。


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(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます!!!まさかまさか、みるみるさん(私が勝手にそう呼んでいます。すみません)からコメントを戴く日が来ることになるとは……!騒いでいただけるなんて、感激です!早く更新します!ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月13日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え?あら?そーなの?うわー!と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月16日 15時

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