婚姻届を書いてください!!【太宰治】

30話 ページ32

「いやぁ、お見事です。
これなら安心してお嬢様を預けられますね」

太宰さんは相変わらずぽかんとしている

「親の元へ挨拶に行く
手間が省けて良かったですね」

一目見て誰か分かったよ。
最後にあったのは何年前かな？


「それにしても両親は未だに
親気取りしてるんですね、
娘の心は離れきっているのに」

部下を使って
此処までやらなくてもいいよね……


「天久様は何時でも貴方様を
お忙しい中見守ってらっしゃいますよ」


そんな時間があるなら
営業の方に力を入れて頂きたいのですが


「天久、という名字
何処かで聞いたことあると思っていたんだ。
財閥名と取締役の名字が異なるから
すっかり忘れていたよ。」


嗚呼、知ってたんですか。

「そうです、我らは関西を牛耳る財閥。
創業者の天久様の元で働いております」


貴方達も
こんな事している場合じゃないだろうし、

「そこに居るんでしょ？
安吾くんの部下と猟犬さん。」

「矢張りバレていましたか……」

貴方達もこんな事している場合では無い筈。


「皆揃って何してるんですか」

政府も財閥も暇なんですか？

「A様のパートナーとして
適切かどうか試験させてもらいました」




「待ってくれないかい？
私は彼女のことを愛しているが
彼女は私の事…………」

意を決して言いますね。

「愛してますよ」


「…………………………え？」

「7年前から貴方の事が好きです。
愛と憎しみは紙一重、
認めてくれない貴方が憎かったです。
太宰さんを安全な世界に
連れて行きたかっただけなのに。
その理由が私を守る為だったなんて……
憎しみなんて
消えるに決まってるじゃないですか。

騙して、貴方が本当に愛する人と
結ばれることがない様に、
なんて願ってました。」

異能無効化の力を持つ貴方の前では
私は無力な様です……

「これ以上先延ばしにしても
しょうがないですね。



私たちは貴方、太宰治が
A様の隣に居る事を認めます。」

こんな私でいいのなら…………




そう言われた瞬間、
ポケットから取り出して
笑顔でこう言った

「「婚姻届を書いてください!!」」

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