Affect053 ページ9
Aside
ぐっ、とトリガーを握る手に力が入った。迅さんの目は、何だか冷たい。
「ほら、狙え」
あの場所を刺せと。そうすればこの人は私の師匠でいてくれるのか？まだ側にいてくれるのか？斬れるようになれば、今のそんな冷たい目をもう二度と私に向けないでくれるのか？
「…っ」
「！A、」
タタタンっ、と、次に響いたのは私の足音だった。
エレベーターのボタンを乱暴に押せば、トリオン体では伝うことのなかった何かが、頬を伝っていた。
「＿やっぱこうなっちゃうか」
ドアが閉じると同時に、迅さんの声がした。
＿＿＿＿＿＿
迅side
ザアアア、と嫌な音が街中に響いていた。
おれは、Aがおれのことを刺してくれるのに賭けた。だけど、結局もう一つ視えてた方の未来になってしまって、Aはこの雨の中外へ走って逃げてしまった。
急に言ったって、そりゃ無理だよな。
けどなA、お前が遊真の黒トリガー争奪戦に参加した時点で、こうなる未来は近づいたんだ。斬れないままであることを明白にしたお前に、それによって引き起こされる悪い未来がいくつもみえたから。
…けど、それにしてもこんなに突然こんなことをしたのには、他にも理由があるんだけどな。
「A、」
分かる、分かるよ。お前に寄り添うフリをしておいて、結局こんなに突然今のお前を否定して、お前の心を傷つけたことくらい。わかってるよ。
「放してください」
俺は彼女のあとを追った。そしたら傘もささずに走ってて、おれはその手を掴んで今に至るわけだ。おれの傘からぽつ、ぽつ、と水滴が落ちて、掴まれたAの腕の上に落ちていく。
「訊いてって、」
「迅さんが師匠やめるなら、ボーダーやめる」
「！」
おれを見上げたAの顔は、ひどく歪んでいた。
「…やめれないだろ、"それ"を持ってる限り」
「だから迅さんは私を引き止めるの」
「"これ"を使えるのが、力を使えるのが私だけだから…！」
反射だった。掴んでいたAの手を引き寄せて、傘を握っていた手でそっと背中を抱きしめる。Aの体は冷たい。
やめてくれ。
おれは、お前の"師匠"だから、こうして引き止めるんだよ。
お前の一番輝いた笑顔を取り戻すために、その"師匠"であり続けてるんだよ。
だから自分の存在意義を、戦力だけで決めないでくれ。確かに、お前が"それ"を使ってまた最前線に返り咲いてくれることが、おれの最大の仕事だ。けど、戦えなければ意味がないなんて、思ってないんだ。
お前には、それ以外にもちゃんと存在価値があるよ。
「迅さん……？」
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
