Affect093 ページ49
Aside
眠れなくて屋上に行ったら、遊真がいた。
そこで、新しい事実を知った。遊真の体が、トリオン体だったなんて。それにその体を形取るブラックトリガーを作ったのは彼のお父さんだと、そう遊真は言った。黒トリガーは、命と引き換えにしか生まれない。
つまり遊真のお父さんは、遊真の為に死んでしまったということ。
こんな小さな体に、そんなに重たくて黒い過去があっただなんて。それに私の想像だが、いくら黒トリガーでも不老不死になる力は持てないと予想する。恐らくトリガー内に死にかけた遊真の生身の体が封印されていて、それは少しずつ死に近づいているはずだ。
それが遠い未来の話だとしても、近い将来の話なのだとしても。
ああ、暗い顔一つ見せない遊真に、こんな秘密があっただなんて。もしかしたら、その体を治すためにこちらの世界へやって来たのかもしれないな。だけどきっとそんな技術はまだボーダーにはないし、遊真の体を治すことは、現時点では出来ないのかもしれない。
「怖いもの？」
「そ。例えば寝ないから夜が怖いとか」
「夜は別に怖くないね。みんなが寝てる間に訓練の復習もできるし」
私だったら、眠らない夜が何日も…何年も続いたらどうだろうか。いや、きっと嫌だったことを忘れられなかったり虚無になって考え込んでしまう時間が何時間もできたりして、遊真みたいに強く居られないだろうな。
「…死にかけたのに、また戦うのも怖くないの？」
空閑遊真。その背は私よりも低いはずなのに、私にはその姿がひどく大きくて頼もしいものに見えた。きっと価値観も経験も何もかも、私よりも大人であるに違いない。
「……怖くないよ」
ヒューッと吹いた北風がひどく冷たくて、泣きそうになった。
「今おれが戦ってるのは、あの時戦争してた国でもないしあの時おれを半殺しにしたトリガー使いでもない。全く違う対象のことを、おれは怖いだなんて思わない」
それは、とても当たり前のことで、そして私にとってはとても難しいことで。頭でそう理解していても、行為そのものに恐怖を抱いてしまうのが人間なのに、思ったことをそのまま行動に移せている彼は私なんかよりもずっと芯の強い人間なんだということが容易に想像できた。
「オサムたちと一緒に戦えることに、むしろワクワクしてるくらいだ」
にっと遊真が笑った。
「＿＿＿そっか。そうだよね」
一緒に戦えることが、楽しいと思えること。ボーダーであれば当たり前に持っている価値観のはずなのに、気が付けば私はその考え方をどこかに忘れてきてしまっていたみたいだ。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
