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Affect139 ページ9

Aside


「あいつずっと追ってくんなー、マジでお前のこと捕まえる気じゃん」
「もういいよ米屋、あとは自分で走って逃げれる」


米屋が安全なところまで私を送ってくれようとしているが、ずっと新型が後ろから追ってくるので振り切れなくて。このまま米屋を出水たちの場所から遠ざけるのは良くない気がするので、私は一人で逃げると米屋に伝えた。ベイルアウトがないことが、ここまで不便だったとは。


こんな経験は、二年前の遠征以来だ。


「どの口が言ってんだよ、お前生身は足遅ぇじゃん」
「うっ……」


そりゃあ運動神経の塊のような米屋と比べたら、生身の私の身体能力なんてミジンコ程度ですよ。


「!」
「ん?」
「米屋、やっぱりここで降ろしてくんない?」
「はぁ?だから、お前じゃ逃げ切れねーって」


私が三雲、京介、出水、米屋、駿たちと合流した地点は確か大体基地の南南東あたり。そして私が米屋に助けてもらったのはそれより少し南下した場所で、出水たちはあまり動かず戦闘を続けていたようだから、そこを通って現在東の方へ進んでいる。それで、これ以上米屋を出水たちから引き離さないために、近くに誰か他の隊員がいないものかと私はサイドエフェクトを使った。


そしたら、それはドンピシャな人物が視えて。


「いや、もう少し先に、私を助けてくれる人がいるから」
「お?サイドエフェクト?」
「うん。だから米屋は、私がその人と合流できるように、あいつを足止めして欲しい」


言うと、なるほどな、と米屋が私の頭の上で言った。


「そーいうことなら了解。任せとけ」
「ありがと。できればうまく新型連れて出水たちの方まで戻ったほうがいいよ」


この辺りには、もう隊員はいない。それにA級の米屋は人型との戦闘にも戦力になるはずなので、出水や京介の戦闘に早く復帰してあげたほうがあの二人の負担も減る。私の戦いはここで終わりだが、三門市防衛戦はまだ終わっていないのだから。


「だな。よし、じゃあ降ろすぞ。気ぃ付けてな」
「うん、ありがと米屋」


そして、米屋が屋根から地面に着地して、そこで私をおろす。そして私に背を向けて、これからやってくる新型を迎え撃つ準備のために槍を構えた。こんな所まで私を送り届けてくれた米屋は、本当に底なしに優しいやつなのだろうな……と、自分の足で地面に立つと再確認してしまった。


「……じゃあ、またね」
「おう。新型はここで止めてやるから、安心して行けよ」


そして、私はその大きな背中に背を向けて、東へ向かって走り出した。

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るえら(プロフ) - うわー!!!!別サイトから一気読みしてしまった、とても面白いです!!更新ゆっくり待ってます!!! (10月20日 14時) (レス) @page35 id: 63d223fd88 (このIDを非表示/違反報告)
honoka - 一気読みしちゃいました!!続き楽しみにしてます💗 (6月21日 22時) (レス) id: 944c15d446 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - しおむすびさん» こんにちは、コメントありがとうございます(;_;)長くなってきたにもかかわらず一気読みありがとうございます!更新止まっていてすみません;;原作の展開を見ながらゆっくり進めて参ります……! (2022年12月13日 12時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
しおむすび(プロフ) - 一気読みして最後まで読んでしまいました…!主人公の生き様にたくさん勇気が貰えます!!更新ゆっくりと待ってます︎☺︎ (2022年12月9日 0時) (レス) id: 2152d546a1 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 紅羽さん» コメントありがとうございます!通知漏れしており気づくのが大変遅くなってしまってすみません(;_;)めちゃくちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます!励みになります……!原作の展開など見ながらゆっくりです更新して参ります〜! (2022年12月4日 12時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2021年1月3日 1時

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