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魔物を飼い馴らす ページ29

「A、見て。」

南雲君が時々子どもっぽい振る舞いを見せることは、知らない人も多いだろう。
それが私には、とても嬉しい。
ぱかっと跳ね上げられたレンズの奥の瞳を覗くと、見馴れない色をしている。


「カラーコンタクト?」

そしてその子どもっぽさは大抵突拍子もない。
けれど、わざわざ私に見せることには、きっと何か意味がある。

「似合うね。服装に合わせたの。」
「そういう訳ではないんだけれど、ありがとう。」

南雲君の指が私の耳朶の裏から顎のラインを滑らかになぞる。
ぞわぞわとして首を傾げると、少し逸れた目線を追いかけてきて彼が私を覗き込む。

「どうして緑色。」
「知っていると思うけれど。」
「シェイクスピア?」

ご明察、と彼はにっこり笑うけれど、それだとあまり穏やかな状況ではないのではないか。

「だったら尚更」
「どうして、って?どうしようもないから。」

あの記者に絡まれていたの、知らないとでも思っていたの。と南雲君は続ける。
どうやってそのことを知ったのかは、分からないけれど。

「嫉妬されるようなことは、何もないよ。」
「分かっている。Aは何も悪くないし、嫉妬するような要素が欠片もないことくらい。
それでも自分ではどうしようもない。だからこそ緑色の眼の異形は人の心を餌食にする。」

南雲君の眼は冷ややかなようで、熱っぽくもあり、捕らえられて動けなくなる。
彼の瞳は、きっと私を狂わせる。

「だから、Aが飼い馴らしてくれないと困る。」

とても優しく、それなのに強制的な空気を含んで、彼は言う。
美しい緑色の瞳に、息を飲んだ。

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設定タグ:アンナチュラル , 木林南雲 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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沢崎(プロフ) - KANONさん» はじめまして。読んで頂いてありがとうございます。書きたい場面は色々ありますが、文字に起こすのが難しくて。お言葉が励みになりました!木林さんの素敵さを少しでも表現したいです^^ (2018年4月27日 3時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
KANON - はじめまして。木林さんのお話が読めて嬉しいです。不思議な怪しい魅力を持つ木林さん。何度も読み返してしまいます。これからも素敵なお話が続きますように‥ (2018年4月25日 0時) (レス) id: 1ebeb777d3 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - りこさん» はじめまして、コメント有難うございます!私も放送が終わっても木林さんのことを考えたくて書いています。イメージとかけ離れてしまわないか表現を迷っているので木林さんファンの方からそのようなお言葉を頂けて本当に嬉しいです。ぜひまたいらして下さいね^^ (2018年4月7日 2時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - はじめまして。ドラマ終了後も木林さんが頭から離れず、沢崎さんのお話に出会えた時は本当に震えました。毎作品、読み終えるのが勿体なくて、ゆっくりゆっくり読ませて頂いています。言葉選びがとても綺麗でこの喜びを250字では語り切れません。有り難うこざいます。 (2018年4月4日 23時) (レス) id: 27c3e3ee96 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - さくらさん» 訪問及びコメント、ありがとうございます!言葉の表現や情景は練っているつもりなので、とても嬉しいお言葉です^^また遊びに来て頂けると嬉しいです(´―`* (2018年4月2日 23時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沢崎 | 作成日時:2018年3月22日 22時

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