die sehnsucht_kus05 ページ26
ソファで横になっているのを覗きこむと南雲君は眠ってしまったようだった。
掛かったままの眼鏡をそっと外すと、整った顔が顕れる。
職業柄、また本人の性分もあるのだろうけれど、彼は大抵笑っている。
出会った頃はもう少し、不機嫌や無関心も隠しきれていなかったように思うけれど、無理をしてはいないだろうか。
何でも話して欲しい、なんて烏滸がましいと思う。
隠し事があることが逃げ道になることもあって、それを塞ぐ様なことはしたくない。
寝顔は良いなぁ、と思う。
何かを我慢したり、そんなことを感じさせないニュートラルな表情。
彼は傍にいる時も、時々独りでいるようで。
今は閉じられて彼の瞳は私を映さない。
片想いのような感傷と共に、瞼に口付けてみる。
「うあっ、」
首の付け根の辺りを突然掴まれて、仰け反ってしまった。
低いテーブルに背中がガッと勢いよく当たり、痛い。
「逃がさない。」
いつの間にか目を開けた南雲君は長い脚を勢いよくおろして腰を浮かすと、私を身体ごと捕まえてからソファに引き戻す。
「痛かったね。大丈夫。」
テーブルに打ち当てた辺りをさすりながら、彼は私に声を掛けた。
「ごめんなさい。」
捕まれられたまま彼の膝に座らされて、恋人同士というよりも叱られている子供のようだ。
「なにが。」
「起こしちゃって。」
「ああ、感心しないな。視姦は俺の専売特許でしょう。」
起きていたんだ。
声にしていないのに、彼は応えるように「初めは寝てたけど。」と言った。
「どういう意味。」
「え。」
「瞼にキスなんて。"私を見て"って？俺はいつもAだけを見ているのに？」
そんなつもりは、と思ったけれど、言われてみればそうだったのかも知れない。
返答に困っていると、「お望み通りに。」と彼は言う。
その瞳には所在なさげな私の姿が映っていて、直視出来なかった。
「どうして逸らすの、Aも俺だけを見てよ。」
――――――――――――
瞼の上なら憧憬のキス
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沢崎(プロフ) - KANONさん» はじめまして。読んで頂いてありがとうございます。書きたい場面は色々ありますが、文字に起こすのが難しくて。お言葉が励みになりました！木林さんの素敵さを少しでも表現したいです^^ (2018年4月27日 3時) (
レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
KANON - はじめまして。木林さんのお話が読めて嬉しいです。不思議な怪しい魅力を持つ木林さん。何度も読み返してしまいます。これからも素敵なお話が続きますように‥ (2018年4月25日 0時) (レス) id: 1ebeb777d3 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - りこさん» はじめまして、コメント有難うございます！私も放送が終わっても木林さんのことを考えたくて書いています。イメージとかけ離れてしまわないか表現を迷っているので木林さんファンの方からそのようなお言葉を頂けて本当に嬉しいです。ぜひまたいらして下さいね^^ (2018年4月7日 2時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - はじめまして。ドラマ終了後も木林さんが頭から離れず、沢崎さんのお話に出会えた時は本当に震えました。毎作品、読み終えるのが勿体なくて、ゆっくりゆっくり読ませて頂いています。言葉選びがとても綺麗でこの喜びを250字では語り切れません。有り難うこざいます。 (2018年4月4日 23時) (レス) id: 27c3e3ee96 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - さくらさん» 訪問及びコメント、ありがとうございます！言葉の表現や情景は練っているつもりなので、とても嬉しいお言葉です^^また遊びに来て頂けると嬉しいです(´―｀* (2018年4月2日 23時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沢崎 | 作成日時：2018年3月22日 22時
