110second ページ19
.
男の目は楽し気に輝いたまま。
何かを語る様もまた、楽しげで、まるで親に今日の出来事を語る幼子のようだった。
男とオールマイトが何か言葉のやり取りをしたあと
あざけるように男の顔は、その目尻が落ち、曲線を描いた。
オールマイトや緑谷くんを除くこの場のクラスメイト達が集まる前から
この男と対峙していた私からしたらずっとゲーム感覚で
情操教育や規律化された社会に適応できていない様は幼児退行というより
ずっと幼いままで、そこから時間が進んでいないかのようだという印象を受けていた。
今も、この状況下すら男にとって何かの催し物やイベント、遊びに他ならない。
音が、少しだけ滲むように響き始めた。
といってもゼロだったものが、断線しかけたイヤホンのようにプツリプツリと
それはもう酷いものであることに、変わりはなかったけれど。
「さっき…がサポート…ヤバかっ…でしょう。」
とぎれとぎれに聞こえた声の先、彼は右手を構えていた。
しかし、それは「プロ」に制止された。
緑谷くんはまた何かを言いかける。
詮索する気はないが何かしら、この人とつながりを持った彼は
相も変わらず、顔色が優れない。
何かしらの懸念が絶えることが無いようだった。
でも、平和の象徴は、絶えず笑顔を見せその親指を立てていた。
「大…さ、過…少女のおか…ハンデなしで言い分…そうだしな。」
ぼやけて聞き取り切れなかったが
おそらく先程傷を消し…なかったことにしたことを言っているのだろう。
現にオールマイトは脇腹辺りを軽く撫でている。
『…お役に立てたなら、それ…』
それでいいです。そう言おうと思っていた。
言いかけたそれは、彼に聞こえていたのだろうか。定かではない。
なぜなら、私が言葉を言い切るよりコンマ数秒早くオールマイトと「のうむ」は衝突。
ぶつかり合った衝撃は収束された一点から弾け、逃げるように周りへ広がった。
『ぅ、わ…』
衝撃による爆風は重心を保つこともままならない
疲弊しきった私を吹き飛ばすには十分で
上半身からそれるように後ろにもっていかれそうになる。
「なにやっとんだ、馬鹿」
『いたっ！？』
上半身、および首がもう後ろに場がされていた私の後頭部を鷲掴み
前方に押し出し、先程の敵を抑え込んだ時のように地べたに向かって強く抑え込む。
有難いことには有り難いが…
もう少し要望を出すならもう少し…味方に対してなんだから丁寧にお願いしたい。
…きっと無理だろうけど
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 472人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます。夢主の性格に合わせてなるべく繊細に、熟考した様子を描ける様に心がけているので感想とても嬉しいです。明日(本日)2話あげる予定なので楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年11月10日 1時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - やった！！更新だ！！！ありがとうございます！！五臓六腑に染み渡る…睡さんの書く話は心理描写が細かくて…あと日本語が綺麗（？）です。これからも応援してます！ (2022年11月8日 14時) (レス) @page43 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。最初から読ませてもらいました！とても楽しくて面白かったと思いました。特に夢主のおっしゃる事や性格、個性、シリアス感がと出ていて読むのが楽しかったです。更新頑張ってください！！応援しています。 (2020年9月14日 1時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
