103second＿＿Ｍ ページ12
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そのやり取りをしたのは、初めてのヒーロー基礎学の翌日。
彼女に一度尋ねたことがある。
その常人とは思えない程、長けた体術は一体どこで手に入れたのかと。
彼女はいつものように表情を変えることなく
ただ、ふと顔を背けてどこかを眺めながらポツリと答えた。
『…習ったの。』
答えたくないのかと思って
無理に応えなくていいよ、と慌てて言葉を付け加えたら
こちらを振り返り、大きな目をパチパチと瞬かせていた。
『なんで？』
「いや、なんというか…顔を背けた、から？」
『…なんとなく、そんな感じがした、ような気がしたってことね』
段々と声を小さくして、語尾には疑問符すらついていそうないく僕に
確証はないことを確信したのか、少し呆れているような気がする。
『別に。答えたくないわけじゃないよ。
どうこたえるのが正解なのか、あの人は私の何なのか
…少しだけ、考えてしまっただけ。』
そう口にする彼女が少し、悲しそうな、寂しそうな
なのに誇らしそうな、チグハグしていて儚げに見えたのは覚えている。
その表情は今しがた、戦いながら零すように
一瞬だけ、チラつかせた表情に似通った部分があった。
その対象が同一であることに、なんで気付かなかったのか。
今にして思えば、なぜ今の今まで違和感を覚えなかったのか
答えは出揃っていたのに、横並びにしてしまえば答えは見つかっていたのに。
『体術はね、家で習ったの。』
「それって、親御さん？」
『…うん。“しょうたさん”っていう保護者に。』
今にして思えば、踏み込んだ言い方をしてしまったと思う。
もちろん、不快感を与えてしまうつもりはなかった。
単に「保護者」という言い方に疑問を感じて
それが小さな呟きに変わって、口から漏れ出していた。
「え…？」
『！ あぁ、緑谷くんは知らなかったね。自ら進んで言うことでもないし。』
ここで、やっと気が付いた。自分の失言に。
顔色を変えた僕に、困ったように肩をすくめて彼女は優しく言葉を続けていた。
『変に気を回さないでね。その方が、困るから。
私、肉親はいないから。その人がきっと…私の家族でいようとしてくれたの』
悲しげなのに、その目は歳に不相応なほど慈悲と愛を物語っていた。
彼女は確かに、その「しょうたさん」を好いていた。
この時すでに、僕は「しょうたさん」を知っていたのに。
オールマイトの謝罪を聞くまで気付かなかった。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
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睡-ｽｲ-(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます。夢主の性格に合わせてなるべく繊細に、熟考した様子を描ける様に心がけているので感想とても嬉しいです。明日(本日)2話あげる予定なので楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年11月10日 1時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - やった！！更新だ！！！ありがとうございます！！五臓六腑に染み渡る…睡さんの書く話は心理描写が細かくて…あと日本語が綺麗（？）です。これからも応援してます！ (2022年11月8日 14時) (レス) @page43 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。最初から読ませてもらいました！とても楽しくて面白かったと思いました。特に夢主のおっしゃる事や性格、個性、シリアス感がと出ていて読むのが楽しかったです。更新頑張ってください！！応援しています。 (2020年9月14日 1時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
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