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「え、それ塔の事が書かれた本なんですか?」
「リコリスちゃん、塔について知りたがっていたから、後で教えてあげようと思ってたんだ。あ、2人もこれ読んでみる?」
アリスは傍にいた水饅頭を両手に包んで立ち上がる。ドンケべラルと
『あるところに神がいた。神から1つの世界が生まれ、そこで神は沢山の物を創った』
『やがて神は原初の世界に飽き、いくつもの世界、いくつもの物質、いくつもの魂、そしていくつもの自分自身を創り出した』
『だが結局神は最後には飽きてしまった。神はムネモシュネという化身を被った。ムネモシュネは神の創った全てを1つの世界に纏める事にした』
『そうしてムネモシュネは図書館を創り上げた。全ての世界の全てを納めた箱庭を。全てが存在するこの図書館で、全てを手にした彼は眠っている』
ドンケべラルは本を閉じた。この塔はムネモシュネという存在が創り上げた場所らしいけど……そのムネモシュネは神の化身、らしい。そもそも化身って何なのだろう。
「これ……リコリスさんが見たらものすごく喜びそうですね」
「うん!」
水饅頭はドンケべラルの方を見ている……ように思える。ゴマ粒みたいな目をしているから、どこを向いているのか全然分からないのだ。
「ドンケべラルちゃん、早く行こ?」
「ああ……分がった、今えぐ」

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