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「あれ、ドンケべラルさん」
ドンケべラルが部屋から部屋へと移動して本棚を漁っていると背後から声がした。振り向くとそこにいたのは
「
「探していた本はなかったですけど、まあまあ有用な本はいくつか見つけましたよ。魔法の本だから、後でリコリスさんに教えるつもりです。ドンケべラルさんの方はどうでしたか？」
「気になる本はなんもねがった。適当さパラパラ捲って読んだりもしてみだげど……」
小難しい話が記載された説明書のような本や、幼い子供に読み聞かせる絵本のような本まで、多様な種類の本があった。
しかしそのどれも、ドンケべラルが求める本ではなかった。ドンケべラル自身自分が何を求めているか具体的に説明する事はできなかったが、少なくともドンケべラルの求める本は見当たらなかった。何となくだが、ドンケべラルはここに自分の求める本はないような気がしていた。
「そろそろ帰ろうと思ったんですけど……アリスさんを見かけませんでした？」
ドンケべラルは首を横に振る。ここに来るまでにアリスと は出会っていない。
「テルミナスさん、アリスさんがどこにいるか知ってます？」
「あの子なら今入り口のすぐ近くの部屋にいるよ。本を読んでいる最中みたい。声をかけた方が良い？」
「いえ、大丈夫です。それから入り口まで案内して貰えませんか？今から帰ろうと思ってたので」
「はーい、分かったよ。まずはきみ達から見て左の扉を開けてね。次は……」
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