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「えーっと、とりあえず自己紹介とかしましょうよ。同じ読書家の仲間じゃないですか。情報共有したら、もしかしたらそれをきっかけに思い出すかもしれませんよ。何より、皆彼の名前すら知らないじゃないですか」
ツナギを着た女がそう声を掛けると、2人の男は互いに顔を見合わせる。自分達が自己紹介していない事を思い出したかのようだった。そして銀髪の男が、バツが悪そうに頭を掻きながら言う。
「それもそうだね。じゃあまず私から……私はミナリア。そしてこっちがガリアとメルキュール」
銀髪の男のミナリアがそう言うのと同時に、ふわりと彼の背中から2匹の生物が現れる。クリオネのような姿をしたそれらはふわふわと宙を浮かんでいた。こちらを警戒して隠れていたのだろうか。
「じゃあ次は僕だね。僕はリコリス・リリー。見て分かるだろうけど、魔術師だよ。気軽にリリーと呼んでくれたまえ」
黒尽くめの男のリコリスが言う。そして、次は君の番だよとツナギを着た女に自己紹介を促した。
「
「もう、自己紹介くらいできるってば!はじめまして、アリスはアリスだよ!こう見えてもお姉さんだからね!」
ツナギを着た女の
「おらの名前はドンケべラルだ。よろしくお願いします。ただ、記憶がねえがら皆さんに迷惑かげるがもしれねえ。知ってる事教えで欲しい」
「よろしくね、ドンケべラルちゃん!」
「よろしくお願いします、ドンケべラルさん」
「勿論よろしくされてあげようとも。それにしても記憶がないのか……記憶喪失ってやつだね。もしかしたら司書の影響を受けたとか……ブツブツ……」
「ドンケべラルか、中々変わった名前だね!」
アリスが一際明るく大きな声で挨拶したのを皮切りに、皆が挨拶を返す。
「じゃあまず……そもそもここが何なのかから説明しよう。分からない箇所があったらその都度質問するように頼むよ」
リコリスが談話室に設置されたソファの方を指差しながら言う。座りながらゆっくり説明をしようという事だろう。頷きながらドンケべラルは足を動かす。

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