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「ドンケべラルさん、一緒に行きませんか?テルミナスの書庫は安全ですから。アリスさんも……もし大丈夫そうでしたら」

「アリスは大丈夫。一緒に行かせて」

「おらはさすけねえ。でも……テルミナスって何だ?」

 テルミナスという単語はリコリスに読ませてもらった本に書いてあったのはぼんやり覚えている。確か、司書の名前だったような気がする。一応確かめておこうとドンケべラルが言うと、珠稍(すやや)は説明を始めた。

「司書の名前です。攻撃してくる事がない司書なので安全です。既に試練も合格したので、脅威なく本を探す事ができるんです」

「うん。それでね、水饅頭の司書補ちゃんがいるんだよ。とても可愛いの!」

「水饅頭……?」

 ドンケべラルは首を傾げた。水饅頭……よく分からないが、あまり危険な存在には思えない。

「じゃあ行きましょうか。本を探し終えたら各自ここに戻って来る事。それから水饅頭にはあまりちょっかいかけすぎないでくださいね、アリスさん?」

「むぅ、ちょっとつっつきすぎただけだもん……」

 アリスは頬を膨らませて拗ねた。こんな幼い少女がちょっかいをかけられるくらいに水饅頭という司書補は無害なようである。

 珠稍(すやや)はソファの傍に置かれた荷物から道具をいくつか取り出し、その内1つをドンケべラルに渡してきた。注射器のように見える道具だ。だがさっきリコリスが注射された物とは色が違う。

「多分大丈夫だと思いますけど、修復アンプルです。怪我したら注射してください」

 ……安全だと聞いたけど、こういう道具を手渡されるとやはり緊張してしまう。ドンケべラルのそんな気持ちを感じ取ったようで、珠稍(すやや)は2つある左手を軽く振った。

「大丈夫ですよ、本当に。少なくともテルミナスの書庫で使う事にはならないと思いますから。じゃあそろそろ行きましょうか」

 彼女は扉を開ける。

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2024年12月30日 1時

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