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「あ、リコリスさーん。お荷物預かってまーす」
ツヴァイが戻ってきたようで、受付の方から声がする。リコリスが返事をしながらソファから立ち上がるのを見送りながら、ドンケべラルは欠伸をした。
「じゃあ休んだしそろそろ探索に向かおうよ〜。……あ、勿論一番乗りは私だからね?」
ミナリアがそう言って、カップケーキを片手に持って齧る。1時間くらいお菓子を食べながら談笑していた。休憩はこのくらいで良いだろうとミナリアが判断するのも当然だ。
彼は立ち上がって扉の方へ向かい、そして開ける。
「おっ、これは……リコリス〜、まだ入った事ない書庫だよ〜」
ドンケべラルはソファから軽く身を乗り出して、扉の奥を見る。緑色の床が見える。どうも……植物が繁茂している洞窟らしい。立ち上がって近付いてみると、森の中にいるような、爽やかで落ち着く香りがした。
ミナリアは談話室と書庫の境目で反復横跳びしている。ガリアとメルキュールもふよふよ行ったり来たりしている。楽しそうだ。だがすぐに飽きたようで、戻ってきた。それと入れ替わるように荷物を受け取ったリコリスが扉の傍に近付いて、観察をしている。
「……多分、脳喰い虫の書庫だな。特徴が一致している。危険度はかなり高いけど魔術での対抗が可能らしいから、今回も僕は探索に参加しよう。他に来る人は?」
「はーい。私も行くよ。先陣切ってくから」
「アリスも行きたいな!」
「2人か3人で行くんですっけ……じゃあドンケべラルさんとお留守番してますね」
ソファに置かれていた荷物をいくつか手に取って、ミナリアとアリスが扉へと向かう。ドンケべラルは少し行ってみたいと思ったが、乗り遅れてしまったからには仕方ない。残りのお菓子を楽しむとしよう。
彼らに手を振って見送りながらドンケべラルはそう思った。

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