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「ただいま！」
「おお、おがえりらんしょ」
アリスの元気な声が響くと同時に扉から4人が出てくる。塔から戻ったようだ。戻ってきた彼らは各々好きにし始めた。ミナリアはツヴァイに話しかけている。アリスと
「4人ではやはり探索が難しいな。今度からの探索は3人か2人に絞って……ん？」
「え……なじょしたんだが、リコリス？」
リコリスが顔を上げてドンケべラルを凝視する。もっと言うなら、ドンケべラルの傍に浮遊する剣を。困惑するドンケべラルにツカツカと歩み寄り、リコリスは更に剣を見つめた。
「……驚いたな。悪魔の口か」
「あ、悪魔の口？何だべ、それ？」
リコリスの懐から本が現れる。ふよふよと浮遊する本は勝手に開き、パラパラとページが捲れて……止まった。覗き込むとそこには、堕落大海老からのギフトだという剣と同じ特徴を有した剣のイラストがある。イラストの端には、悪魔の口と記されていた。
「そのギフトの呼び名さ。言い忘れてたけど僕はずっと塔の研究をしていてね、司書やギフトの情報もある程度集めたんだ」
それで、とリコリスは続ける。
「そのギフトは堕落大海老のギフト、悪魔の口。持ち主の思うがままに操る事ができる剣だ。何でも斬る事ができる凄まじい斬れ味を持っているけど、堕落大海老がギフトを通じて話しかけてくる。下手な事を答えればそのまま斬り殺されて、死体は消えるらしい。まるで丸ごと食べられたかのようにね。だから悪魔の口と呼ばれるのさ」
ドンケべラルは剣を……悪魔の口を見る。想像よりも恐ろしいギフトだったようだ。先程話しかけられたが、もし対応を間違えたらそのまま死んでいたかもしれないなんて。しかし、思うがままに操る事ができるとはどういう事なのだろうか？
試しにドンケべラルは心の中で、自分の頭より上の方を飛んでみろと念じてみる。すると悪魔の口はすーっと静かにドンケべラルの頭上へと動いた。どうやら本当らしい。
「もしかして……さっきの右足の傷は堕落大海老から受けたのかい？君の味を気に入ったとか？何か気に入られるような心当たりは？」
「知んねえよ。いぎなり現れでいぎなり足持ってがれだだげだべ」
「そうか……じゃあやっぱり味なのかな。ありがとう、研究が捗るよ」
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