追想 ページ6
7才になった冬。あれは本当に、僕にとって忘れられない季節になった。
双子の弟がいることを知ってからの僕は、一層躍起になって離れの外を目指した。
両親も知らない僕の唯一の肉親。共に生を受けた片割れ。……会ってみたい。一目でいいから
それから僕は外が見える場所を探して、離れ中の隙間という隙間を覗いた。
壁の薄そうな場所になんとかして穴を開けようとしたこともあった。古びているとはいえ立派な木造建築だから、当然壁に穴は開かなかったし、終いには彼女に見つかってひどく怒られたけど。
次第に僕は諦めて、また大人しく部屋で過ごすようになった頃、唐突にチャンスが訪れた。
ちょうど雨が降り続いていた時期だった。雨漏りの点検で二階に上がった僕は、外が見える窓を見つけた。
曇りガラスじゃない、打ち付けられていた板が腐り落ちて下半分が顕になった小窓。
本邸や庭に面していない、離れの裏側で、暗く寒く湿っぽいそんな場所に誰かがわざわざ行くこともなく、誰にも気付かれずに放置されていたのだ。
高鳴る胸を抑えてそっと覗きこむ。
初めて目にした外の景色は、雨に濡れた林だった。
うわぁ、と思わず言葉が漏れた。
離れの裏にあるのは、ただの林だ。いや、林と言うほどの規模でもなく、敷地の隅の、離れの裏というあまり気にならない位置であったために手入れが行き届いていないような、木と花と草とが生い茂っているだけのところだった。
そんなところに、まして雨上がりに立ち入りたいと思う人はいないだろう。事実それは僕が今まで写真集で見たどんな景色の足元にも及ばないほど、平凡でありふれた風景だったろう。
でも、僕にとってはその全てが新鮮で、鮮明で、素晴らしいものに見えた。
長雨による水溜まりも、濡れて色を変えた幹も、散った葉も、ぬかるみも、望んでいた全てがそこにあった。
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梅チョコ(プロフ) - Part1完結しました！ありがとうございました(* ´ ▽ ` *)続編もよろしくお願いします〜！ (2021年3月27日 18時) (
レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
梅チョコ(元Thatn)(プロフ) - ﾋｴｯ……待って……書きかけのお話を非表示でこそっと更新したつもりだったのに出てた……(´；ω；`) (2021年2月12日 20時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
Thatn(プロフ) - トップにそれっぽいこと書いてる癖に、未だ男主くんの術式が出てこないという……ね……あと変な時間の更新多い……(￣▽￣;) (2021年2月2日 13時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
Thatn(プロフ) - 蒼音さん» すみません！ボード見てなくて気付きませんでした……。私もボードの方に返信させて頂きました。長文ですが一読頂ければと思います。これからはボードの方もちゃんと確認します！ (2021年1月31日 8時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
蒼音(プロフ) - 読まれていない可能性があったので一応、報告を。コメント欄に入りきらなかったので、作者様のボードの方にて意見を書かせて頂きました。方針が決まったのであれば不要な意見になるかもしれませんが・・・。 (2021年1月31日 2時) (レス) id: 70bc04b5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅チョコ | 作成日時：2021年1月26日 0時
