【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

呼称 ページ11

「それでその……そうだ、君には名前あるんだよね？
良かったら、僕にも教えてくれないかな……？」

弟「……俺の名前も知らねーの」



悲しんでるような、怒っているような、そんな目。



　「ごめん、君のことはあんまり教えてもらえなくて」

弟「君じゃなくて、悟。五条 悟。」



随分気を悪くさせてしまったようで、不機嫌そうに答える弟___悟。
サトル。なんて素敵な響きだと思った。なんて素敵な名前……それを僕にも教えてくれるなんて。
定期的に交代する係の人はともかく、数年一緒だった彼女でさえ、僕には名前を教えてくれなかったのに。

僕は本当に嬉しくて、ついさっき口数を減らそうと決意したばかりなのも忘れて声に出していた。



　「そっか……そっかぁ、ありがとう、悟くん！」

悟「呼び捨てでいいよ。……双子なんだから、お前はくんとか様とか付けなくていい」

　「でも、五条家の跡継ぎなんでしょ？その足下にも及ばない僕がそんな、呼び捨てにするなんて出来ないよ……」

悟「は？何で。っていうかその感じだと、そもそも、俺と会っちゃダメとか話しちゃダメとか言われてたんじゃないの？」

　「あっ……！」



悟にこうして会えたのが嬉しくて、すっかり忘れてた。そうだ、誰にも会うな話すなって散々言われてきてたのに。
そんな僕を見て、今更？と悟が笑っている。
可愛い。不機嫌な顔より、こっちの方がずっといい。



悟「いいから、普通に話してよ。敬語とか敬称とか無しで、俺のことは悟って呼んで」

　「……うん、分かったよ。悟」



なんだか照れ臭くて、じっと黙っているのは憚られる気がして、そういえば、と口を開く。



　「そもそも悟はどうやってここに……？」

悟「術式で飛んで、外から2階の窓板外して、窓割って入った」

　「術式……って、もしかして無下限術式……？」

悟「そう。なんだ、知ってんじゃん」

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