よそ見しないで、鉄太くん (ページ6)

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次の日、
鉄太くんとは一言も話さなかった。

話したくなかった。
嫌いになったわけじゃない。

強がりなのか天邪鬼なのか
自分でもよくわからないけど
とりあえず一人で考えたかった。

私は鉄太くんのことを好きでも
報われない。
だからこそ、
辛くて悲しくて切なくて。

「お前、今日元気ねぇな。」

『…帰る。』

「ちょっ、何があったんだよ。」

ぎゅっと私の腕を掴む。

『鉄太くんには関係ないよ。』

「関係ないって、俺の真似か？
　腹いせにしてんのか？」

『違う。関係ないから気にしないで。』

立ち去ろうとする私を
グッと腕を引っ張って引き寄せる。

「心配なんだよ」

『えっ…』

鉄太くんからの
衝撃の言葉に思わず振り返る。

「いつも元気なお前が
　こんな風になるなんて
　滅多にねぇから…」

頭を掻きながら
そっぽを向く鉄太くん。

馬鹿。アンタのせいだよ。

『いいの。離してっ』

鉄太くんを振り解いて
スタスタと廊下を歩く。

鉄太くんはヒナちゃんが好きなんだ。
私のことなんて…。
友達としても見てくれるのか
わからないのに一人で
嫉妬とかしちゃって、馬鹿みたい。