キス、壱萬圓。

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〆．



「…………Aちゃん」



「望くん」



「あの男、ほんまに彼氏やない……？」



「え、違うよ？」



違う。



友達だ。……友達？あれは友達なのだろうか？



キスフレという言い方も違う。



友情を築くのにお金が必要だなんて思わないから。



しかも藤井くんは、私と時間を共にする度に、それも当然と言わんばかりに財布を取り出す。



友達って、そんなんじゃないでしょう？



だから私と藤井くんは、



「友達ですら、ないよ」



「…………………」



望くんがじーっと疑いの目を向けてくる。



「えー？残念だな、そんな信用されてない？今日はこのあと時間あるから一緒にご飯、って思ってたのになー？」



「！！！！」



こんなにわかりやすい子、いる？



すごく懐かれてる。



「それならしょうがないよねー。信用してない人と行きたくないよねー。お疲れ様でしたー！」



「待って待って待って！！ご飯！一緒行こ！」



バタバタと後ろから駆け寄ってくるから、面白くて仕方ない。



「はいはい、わかっ……」



「あかん」



…………なんか、デジャブ。



「藤井くん……なんでここに？」



裏口から出てすぐ、藤井くんの胸にぶつかった。



「Aに会いたくて、来た」



「………………………」



恐るべしイケメン……。



口から出る言葉もイケメンだ。



藤井くんは私の後ろを見、むむむと眉を顰める。



「俺とAの時間、邪魔すんな」



「はあ！？それはこっちのセリフや！！だいたいな、Aちゃんはあんたのこと、友達とすら思ってへんらしいけど！！？」



「の、望くん！！」



本人を前にしてその暴露はやばい。



焦っている脳は、次の藤井くんの言葉に完全に停止させられた。



「…………当たり前やろ、俺やって、友達として見たことなんかないねんから」



〆．

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