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第五十五話 ページ6

心臓がバクバクで、息すら忘れてしまいそうな緊張とともに吐き出した言葉。
帰ってきたのは、たったの一言だった。

「……俺?」

そんな、素っ頓狂な声。
それを聞いただけで顔に羞恥が現れる。
真っ赤になってしまった顔を見られないように、下へ下へと俯く。
断られることなんて、予想していたはずだった。

私は慌てて口を開きチケットを握りしめた。
消えてしまいたい。

「嫌なら別に構いません。 すみません、アテがなくて」
「え、あ、いや……」

どうすればいい。
恥ずかしくて情けなくてみっともなくて、泣いてしまいそうだ。

そうだ、そういえば先生はこういうのが嫌いなんだった。
纏わりつく女のような言動をしてしまった。
謝らなくちゃ。

「っ、すみませ――……」
「ん、じゃあ一緒に行くか」
「えっ?」

恥ずかしさや顔の赤さも忘れて、私は顔をあげる。
そこにいたのはまたあの、見慣れた笑みを浮かべた先生。
今となっては、その笑みが好きだとすら思えてしまっていた。

「……ん?」
「……えっと、」

優しそうな笑みを浮かべた先生は、私を直視する。
その視線を避けるために、私は再び弾かれたように顔をおろす。
小石が転がるアスファルトの床が、何故か私を応援しているようにも見えた。

「いい、んですか?」
「なんだそれ。 誘ったのはお前だろうが」

さも面白おかしそうに笑う先生に、私は唇を尖らせる。
だからって「はい」という答えを貰えると確証していたわけじゃない。
第一私たちは教師と生徒だ。
二人っきりで出かけて問題になってしまったらどうすればいいのだろう。

そうだ、駄目じゃないか。

「で、ですが、教師と生徒が二人で出かけるなんて……」
「ん?別に付き合ってるわけじゃないんだから平気じゃないのか?」
「そ、それでもそれを疑わせるような行為は全面的に禁止されてると思います……」

語尾に近づくにつれて、どんどん声が小さくなる。
誘ったのは私だというのに、断るのが私なんておかしな話。
なんだかもう穴があったら入りたい。

「んじゃ、変装してくか」

そう楽しそうに言う先生がとてもお茶目で、思わず言葉を失くす。
そんな簡単に問題を解決できたのならば、おそらく生徒と教師間のなんやかんやのごたごたは問題になっていないはずだ。

それでもそれを気にした様子もなく、先生はどんなふうに変装するかを考えていく。
そんな先生のプランに、どんどん惹かれていく私がいた、なんて絶対に言葉にはしてあげない。

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設定タグ:ツンデレ , ドS , オリジナル   
作品ジャンル:ラブコメ, オリジナル作品
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ayakaさん» Rの要素ございました? (2020年6月25日 14時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka - [R]つけてください (2020年6月24日 20時) (レス) id: 6bf9ec98ce (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ゆうきさん» あぁああうれしいです!全力できゅんっと来るような描写をさせていただきます…無駄に多く長い小説をすべて読んでいただき感激のあまり…いや本当に感激です!(語彙力が足りない)ありがとうございます、頑張らせていただきます!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - いか糖さん» 本当に長くなりそうなので飽きないって言ってくださってうれしいです……!ワンパターン・テンプレばかりの小説だというのにそんなことを言って下さるなんて…!頑張ります!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメント失礼します!先生かっこよすぎませんか!?一話から続けて読んでいますが、先生の一つ一つの動作にキュンキュンさせられてます!こんな先生本当にいたらいいのにな…更新がんばってください!楽しみにしています! (2017年6月11日 15時) (レス) id: 6c9139a3b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年11月14日 20時

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