９１: 愛してるよ ページ41
「さぁて……悪いなレオ、俺には長々と待ってる時間は無いんでね」
久し振りの家を目の前に、大きく深呼吸する。
天祥院の家に帰った時、言われたのだ。これからはまたビジネスに関わる勉強をしてもらうと。
その前に猶予を下さいと無理に頼み込んで許してもらったのだ。それまでに事を済まさなければ、ずっとこのままになる可能性だってある。
それは嫌だという気持ちも込めて、インターホンを鳴らした。
ーーー
ル「それは……本当…？」
「……うん。隠しててごめんな」
ル「そ、そっか」
ルカが泣きそうになりながらも無理やり笑って頷くのを見て胸が痛くなる。
こういう反応をされるのは分かっていた。それでもいざ目の前にすると罪悪感が物凄いものだ。こっちまで苦しくなってしまう。
蛍「じ…じゃあ、もう一緒に住むのは…」
「っ…ごめん」
２人の目に涙が溜まって、下を向かれてしまった。慌てて駆け寄って正面に膝をつき、その震える小さな手を取る。
優しく頭を撫でていると、リビングの扉が開いた。
月「ルカ、蛍…？どうした！？」
蛍「お兄ちゃん…もう、一緒に居られないって…」
話したのか、とでも言いたげに視線を送ってくるレオから顔を逸らした。
レオは優しくルカと蛍を導き、部屋へと連れて行く。レオが戻ってくるのを待ちながら、大きくため息を吐いた。
月「A」
「レオ……」
月「…もう少し待ってって言ったはずだけど」
「もうそんな時間ないからさ」
苦笑しながらそう言うと、レオはまた苦しそうに顔を歪める。そのままゆっくりと歩いてきて、隣に腰掛けた。
沈黙が流れ、それを断ち切る気にもならずに時計の針が動く音を聞く。しかしそれも少しの時間だった。
月「……その…ごめん」
「え、なんで？」
月「突き飛ばして…酷いこと言って、ごめん。ちょっと考えれば分かることだったのに」
「っレオが謝ることじゃないだろ。俺も感情的に怒鳴った訳だし……ごめんな」
ブンブンと首を振って、レオが俺の手を掴む。
月「最後に１つ聞きたいんだ」
「最後………うん、なに？」
月「…おれ達のこと、愛してた？」
ライトグリーンの瞳が不安そうに揺れ、そっと頭を撫でながら答える。
「……愛してるよ」
義父さんも義母さんもレオもルカも蛍も、家族として、兄弟として、愛してる。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
