８２: 最後の準備 ページ32
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12月も中旬に入ったこの時期、学院は既にクリスマスの準備に追われている。
クリスマスの直前にはもう、あれから10年が経つ___
今日は朝練に顔を出した。弓道場で正座をしながら物思いに耽っていると、弓を下ろした敬人が訝しげに見てくるので立ち上がる。
蓮「せっかく来たのだから練習して行け」
「ああ、もちろん。これが最後の準備だから」
そう言うと敬人は、安心しながらもどこか残念そうに俯いた。敬人には本当に感謝しか出来ないし…
「最後は部長の言う通りにしますよ」
蓮「あ、ああ…」
釈然としない様子だが、発破をかけてきたのは敬人の方だ。
きちんと背筋を伸ばして、矢をつがえた。
ーーー
月「あっ、A〜っ！」
凛「Aさんだ〜…♪」
お昼休みだからと食堂へ行くと、レオと凛月が一緒にソファに座っていた。レオが手招きするので、歩み寄って２人の間に腰掛ける。
「レオと凛月一緒に何してんの？」
月「Knightsの皆んながたまたま集合したから、一緒にご飯でも食べようかってなった！」
「仲が良いなぁ。とゆーか凛月も？珍しいな」
横になる凛月に問いかけると、ふにゃりと微笑んで口を開く。
凛「偉いでしょ、褒めて〜」
「おーおーよしよし」
月「よしよし…♪」
レオが頭を撫でて、俺が背中をポンポンと叩いた。幼い笑顔を見せる凛月は、この頃は体調も良いようで。
零が心配してうるさいから、今の凛月を見ればきっと安心するだろう。
３人でたわいもない会話をしながらKnightsのメンバーを待った。
「じゃあKnightsはやっぱりスタフェスには参加するのか」
月「とーぜん！」
凛「あ、セッちゃん達が来たよ『王さま』」
レオが顔を輝かせた、その時だった。
英「兄さん！」
「なっ……！」
突然の大声とその向けられた先に、俺たちの辺りが静まり返った。
しばらくその場が凍りついたが、レオが息を吸い込む音にハッとして、ガタンと音を立てて立ち上がる。
英「待って！………行かないで」
「……分かってる」
泉も千秋も奏汰も宗も紅郎もなずなも、そこに居た皆んなが雷に打たれたように固まっていた。
もちろん、レオも。
こうなる覚悟はしていた。だからやりたい事をやっておいたのだ。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
