77: 喧嘩 ページ27
「う"……」
紅「おいおい来て早々何だよ。朔間と何かあったのか?」
せっかく楽しいことがあった翌日なのに朝からこんなダメージを受けるとは…
教室に入った瞬間、いつもなら居るはずのない零が俺の席に鎮座していたんだから固まりもする。しかも何か微笑んでるし
「いや…うん、うん……ちょっと昨日怒らせたらしくて…」
零「怒ってね〜よ」
「絶対怒ってるだろ!何で怒ってんのか分かんないけど!」
ジリジリと後ずさると零がゆっくりと立ち上がって近づいて来て、俺の方が若干身長は高いはずなのに威圧感が凄くて萎縮してしまう。
これこそ天賦の才なのだと思わずにはいられない。
そんな事を考えている間に零と真正面から向き合う形になり、赤い瞳が何かを見透かすように見下ろしてくる。
皆んな触らぬ神に祟りなしとでも言う風で、教室の空気が凍ったように固まった。
「……何ですか『魔王陛下』」
零「別に怒ってるわけじゃないって言ってるだろ〜が」
「んな顔で言われても信憑性ねぇし。逆に怒ってないなら何なんだよ」
少しの不満を含んだ声で尋ねると、零はため息を吐いて目を細めた。
零「苛々する、って言えば納得するか?いつまでも昔のこと引きずって悩んでる奴が誰かに教え諭すなんて…思い上がりだ」
「言うなぁお前…」
優しそうに見えて結構グサグサ刺さることを言う奴だと分かってはいたが。
零のオーラに内心怯えていたが表情は崩さず、じっと見つめ返す。こっちだって間違ったことを言っているつもりは無いんだから、折れる必要は無いはずだ。
「俺はお前ほど大人じゃない。お前みたいに『導く』のは無理だよ。……だから『与えて』見守って、直ぐに手を取って支えられる場所にいるんだ」
零「……そろそろ吹っ切らないといけない事ぐらい分かってんだろ」
「だからそれまでは自由にさせてくれって言ってんだけど」
な「お、おい、教室でやめろよ…!」
青「零くんっ…」
俺はなずなに、零はつむぎにグイッと腕を引かれて引き離される。そうしたらようやく零の周りの空気が緩んで、ホッとして大きくため息を吐いた。
零が苦笑しながら俺を見る。
零「分かっておるよ、おぬしにも自分の人生がある。我輩が口出しすることでもないよのう…」
「はぁぁ……本気で怖かったから勘弁してくれ」
笑いながら謝られ、よく分からない喧嘩はいつの間にか収束したのだった。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年12月14日 3時