７６: 背筋が伸びる ページ26
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千「落ち着いたか？取り敢えず座ってくれ」
千秋に導かれAV室の椅子のひとつに腰掛ける。１年生３人が不安そうな表情で歩み寄って来て、自分の情けない表情を引き締めた。
翠「先輩、大丈夫ですか…？」
鉄「心配ッス…何で明星先輩たちに追いかけられてたんスか？」
忍「随分慌てていたようでござるけど…」
１年生たちを前にすると背筋が伸びる。かっこ悪いところは見せられないなと思うから。
正直色んな意味でかなり辛かったけど、何とか笑顔を見せて頷いた。
「もう大丈夫。悪いな、この前も今日も邪魔しちゃって」
千「それは構わないが、一体どうしたんだ？明星たちに何かしてしまったとかだろうか？」
「いやいや、こう見えて俺Trickstarは大切にしようと思ってるし。……ちょっと面白い逃亡劇が繰り広げられててな」
苦笑しながら言うと、それ以上は踏み込んでこなかった。鉄虎なんかは怪訝そうな顔をしていたけど、翠が宥めてくれている。
とは言え流石に前も今日も邪魔して謝罪だけで帰るのも腑に落ちない。どうしようかと思って千秋を見た。
「なんか俺に手伝えることとかない？流石に申し訳ないし…邪魔ならすぐに出て行くけど」
千「邪魔なんてことはないぞ！でも手伝いって…してもらう義理も無いように思うが？」
「いや、こう何度も邪魔したら流石に悪いなぁと思って。出来ることならやるけど」
千秋が腕を組んで考え始めると、奏汰がポンと手を打った。
深「だったら、レッスンをつけてください♪」
「は？俺が？奏汰に？冗談だよな？」
半ば揶揄いながら聞き返せば、奏汰は少しムッとして言う。
深「『ほんき』ですよ〜、こどもたちの『せいちょう』に『こうけん』してください」
「ああ、３人にレッスンをつけるってこと？別に良いけど…３人はどうなの？俺じゃ嫌だろ」
千「そんな筈はない！３人はAのことは結構好きみたいだしな」
本当かと３人を見ると各々がバラバラに千秋の言葉を肯定し、それに少し驚きながらもレッスンを約束した。
「あ、なーなー千秋、何か見るの？俺も見てって良い？」
千「もちろんだ！何か見たいものがあれば言ってくれ！」
「千秋のオススメは？それが良い」
そう言うと千秋は太陽みたいに笑う。
嬉しそうに笑う千秋を見るとこっちまで嬉しくて、胸に燻っていた感情はいつの間にか消えていた。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
