53: 心配 ページ3
「おーいレオ?」
何度ノックしても返事がない。いつかの光景を思い出すと胸がバッと冷たくなって、思い切り扉を開け放って踏み入った。
「おいレオ!っレオ!?」
月「んん……、あれ…?」
「レオ!大丈夫か!?どこか体の具合でもっ…」
ゆっくりと瞬きするレオの体を抱き起こして声をかけると、ライトグリーンの瞳は眠そうに瞼に隠れる。
その様子を見て、ようやく体の力が抜けた。
「眠ってただけか…」
月「むむ…子供扱いするなよ〜」
ぎゅっと抱き寄せて頭を撫でると不満そうな声が耳元で聞こえる。その言葉にクスリと笑みを零して、顔を覗き込んだ。
不満げなその目元には隈ができていて、また徹夜続きでずっと作曲していたんだと分かる。
一緒に住んでいればそういうところもしっかりしてあげられるかもしれないんだけど、そういう訳にもいかなくて。
自分でも分かる不安な表情で、優しく頭を撫でた。
「ちゃんと寝ろって言ってるのに…」
月「……ごめんなさい」
「怒ってないよ。でもほんとに…心配した」
月「うん、分かってる。ごめん」
分かってるなら良いよと頭を撫で、手を差し伸べて引き起こした。
散らばる楽譜を拾い集めながら咳き込むと、レオが心配そうに大丈夫かと問いかけてくる。
眉を下げて聞いてくるその表情に微笑みながら大丈夫だと答え、まとめた楽譜を手渡した。
「ご飯だってさ。降りよう」
月「ああ、呼びに来てくれたのか!」
「そういうこと。ほら、行くぞ」
笑顔で頷くレオの背中を押して部屋を出ると、リビングに向かう途中でレオが、そういえばと口を開く。
月「Trickstarがお気に入りなのか?スオ〜がなんか言ってたんだけど」
「うーん…まあ、目にかけてるってところかな。育てる価値のある子たちだから」
月「ふーん。なんかなぁ…」
不服そうな表情でジッと見つめてくるレオに、少し呆れ気味に言う。
「だってKnightsは個々人の力が飛び抜けてるから俺が教えられること特に無いだろ?変に口出すのも良くないし」
月「むう…………んっ?褒められてる!?」
ぱあっと笑顔になるレオを見ると、幸せな気持ちが広がる。久し振りの我が家は、とても暖かい。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年12月14日 3時