46 向き合う時 ページ46
武田先生と２人病室に残され、何だか気まずい空気が流れる。苦手なこの感じから抜け出すために口を開いてみた。
「あの、水貰っても良いですか」
「あ、ああ、分かりました。待ってて下さいね」
起きてるのに付ける理由も無いし、柳田先生に頼んで酸素吸入器は外してもらった。
個室なのでトイレや水道があったりして、割と便利だ。水道から戻ってきた先生の手からコップを受け取って口に運ぶ。
それきりまた会話が途切れて気まずくなってしまい、ちょっとムズムズしながら先生の顔色を伺った。
その瞬間に先生は何かを決意した様に顔を上げ、一緒にビクリとして姿勢を正す。
先生が言いにくそうに切り出した言葉に思わず顔を顰めた。
「僕は、君をスタメンから外そうと思っています」
「なっ… そんなの嫌に決まってます！」
「っいいですか宇内くん！自分は普通ではないのだと自覚しなさい」
「…！」
今まで、何度も言われてきた台詞だ。でも今目の前で啖呵を切る先生はいつもとどこか違う。
「彼らが両翼の烏ならば君は片翼の烏です。分かるでしょう？」
「片翼の…？」
「君には確かな才能がある。センスがある。元々備わった条件も、健康という点を除けば充分でしょう。ですが…」
先生の真剣な表情が突き刺さる。
「……君は、バレーボールという道で羽ばたく事はできない」
心臓を鷲掴みにされてるみたいに胸が痛んだ。
発作とは違う、痛み。
声の代わりに涙が零れ落ちていく。涙で濡れていく掛け布団を思い切り握り締めて俯いた。
そんなこと、とうの昔に分かってる。どれだけバレーが好きでも身体は丈夫になったりしない。片翼で生まれた烏が両翼になったりもしない。
全部分かっていたから、必死で目を背けようとしていた。
目を背け続けていれば、願っていれば、いつか叶うかもしれない___なんて、有り得ない望みを抱いていた。
でも、もう向き合う時だ。
「先生…」
「はい」
「俺、まだ死にたくない…っ」
「もちろん、まだ死んではいけませんよ」
「ッ…バレーやりたい…！」
「……出来る限り、サポートします」
「なんで…っ…なんでおれなの…！」
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瑠璃烏(プロフ) - 麗さん» 本当だ！！！コメントに気付くのが遅れ申し訳ありません！まさかこんな間違いがあるとは…！ご指摘、有難うございます。 (2020年11月6日 13時) (
レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 猛虎です。武虎になって別人が出来上がっていらっしゃいます。 (2020年8月25日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 龍之介です。龍之助ではないです。 (2020年8月25日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
幸ぴろ - 瑠璃烏さん» 続編!？やったぁ！嬉しいです！ (2020年2月10日 7時) (レス) id: ba2c8d8630 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 幸ぴろさん» 典型的な��落として上げる��方式ですね(w)続編いきますので、まだまだお楽しみ下さい！ (2020年2月7日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃烏 x他1人 | 作成日時：2020年1月17日 3時
