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16: どんな罰でも受けます ページ16

prrrrrr…「ひッ…」


椚「月波さん……授業中は電源を切りなさいとあれほど…!」


「やっわっすみませんっ!」


椚「そもそも音楽室までスマホを持ってこないでください!」


「ごめんなさい!」



5時間目はまさかの音楽。椚先生の授業だった。

ポケットに入れたままだったスマホがいきなり震えて音を立て、思いっきり驚いてしまった。



椚「早く切りなさい!」


「はっはぃ……ッ」



電源を切ろうとして、相手を見て固まってしまった。



「お父さん…」



蚊の羽音のような小さな声で呟く。

向こうは外国だ。日本とは時差が大きい国だったはず。だから授業中だとかは考えられなかったんだろう。

出たくて堪らないけど、先生の言いつけは守る主義だ。

ギュッとスマホを握りしめたまま、俯いた。



椚「月波さん?」


「っ先生、どんな罰でも受けますから!考えておいてくださいね!」


椚「はっ?ちょっと月波さん!」



やっぱり、せっかくの機会を潰すなんて私は絶対に嫌だ。

電話を掛け直すと思い切って立ち上がり、ドアまで走った。


ドアを開けながら、興奮した声で呼ぶ。



「お父さん!」


椚「!」



後ろ手にドアを閉めて、壁に背を預ける。



「お父さん、久しぶり!」


父「ああA、元気だったかい?」



2ヶ月ぶりに聞いた優しい声に、笑顔になって答えた。



「うん!元気だよ!」


父「それは良かった。ところで、もしかしてだけど今は授業中だったかな?」


「あー……うん、まあ。」


父「それは悪いことをしたね。また後でかけなおすから、早く授業に戻りなさい。」


「えぇ…!?せっかくお話しできるのに…」


父「大丈夫。また後でね。授業は何なんだい?」


「音楽。」


父「そうか。椚先生かな?怒られてしまうよ、早く戻って。じゃあまた。」


「あっ…うん。またね、お父さん!」



あっという間の会話だったけれど、声が聞けて良かった。

寂しい気持ちを塞ぎ込んで、教室のドアを開いた。

17: あの時以来→←15: 相談



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瑠璃烏(プロフ) - 十六夜 桜さん» ありがとうございます!もう何と言いますか…インスピレーションが湧かなくて( ; ; )何とか書いておりますので、もう少しだけお待ち下さい! (2020年1月6日 12時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 桜(プロフ) - とても素敵な作品ですね!続きを楽しみに待ってます!零推しには嬉しいですね。(零の小説があまりないので) (2020年1月6日 1時) (レス) id: 12d90357d6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - みーこさん» 長い間の更新停止、すみませんでした!お言葉、恐縮です。頑張らせていただきます!o(`ω´ ) (2019年11月16日 14時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - すごい好きです!更新待ってます! (2019年11月13日 8時) (レス) id: ad66a60e86 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 紅さん» 閲覧頂きありがとうございます!ご指摘、その通りでございます(>_<)勉強の合間に書いたもので…!痛み入ります、すみません! (2019年9月16日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年9月4日 9時

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