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後日談 ページ47

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「あれっ?Aちゃん!」


「善逸!凄い偶然!嬉しいっ」



師範から暇を頂いたので、今日は私服…普通の着物で反物屋を覗きに来ていた。

背後から声をかけられ、その顔を見て思わず笑顔になって駆け寄る。

俺も嬉しい、と笑顔を咲かせる彼を見て、心臓がドキンと跳ねた。そんな私を知ってか知らずか、善逸はごく自然に私の荷物を持ち、空いた手を取る。



「金平糖買ったから一緒に食べない?」


「食べる!ありがとう、善逸!」



どういたしましてと笑う彼の手をぎゅっと握り返して隣に寄り添う。差し出された袋の中から桃色の金平糖を取って日に翳すとキラキラと光る宝石のようだ。

頬を緩めてそれを口に放り込み、カリッと音を立てて砕く。甘い砂糖が舌の上で溶けていく感覚は、いつになっても幸福感が溢れるもので。


そんな私を見つめる善逸は、両の手が塞がっているから食べられていない。

それに気付いて私は黄色の金平糖を手に取ると、善逸の口元に持っていく。



「ふふっ、善逸の色だね」


「あ、ありがとう」



顔を赤く染めて口を開いた善逸の口に金平糖を放り込む。その時唇に触れてしまい、ビクッとして手を離した。


………何だこれ


お互いが真っ赤になって無言で手を繋いで歩いてるって…どういう状況だよ

とかいう考えが、全然使い物にならない頭の中でぐるぐるとループする。



「ぜ…善逸」


「へっ?あ、ぇ、なに?」



羞恥を押し殺し、真っ赤な顔を隠すように俯いて何とか声を絞り出す。



「…こ、今度で、良いから……」


「う、うん」


「私が、したみたいに……口付け、して欲しい…です……」



案の定固まってしまった善逸をそっと見上げると、その瞬間に近づいてくる端正な顔。

一瞬 額に触れたそれは、私を固まらせるのには余りにも充分で。



「べっ…別に今度じゃなくても、良いでしょ…?」



真っ赤な顔で問うてくる善逸にコクコクと頷いて答え、私たちはまた、金平糖を片手に歩き出した。


鬼狩りにだって、こんな日があっても良いよね




.終.

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瑠璃烏(プロフ) - 澄葉流さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月27日 11時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月26日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2020年2月26日 16時

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